『おろしや国酔夢譚』井上靖(著) 2017
5/13
土曜日

大黒屋 光太夫(だいこくや こうだゆう)だけが主役ではないが、中心に据えたこれは実際にあった話。(※故吉村昭氏も光太夫を著している)

漂流→アムチトカ島→オホーツク、ヤクーツク、イルクーツク、ペテルブルグでの極寒、極飢の時には、祖国日本、伊勢へ帰りたい望郷の念、それは誰しも思うだろう。しかし、艱難辛苦の末、祖国へ帰ることになったが、日本人として外から見た鎖国中の日本とはどのように光太夫に映ったか、その時、祖国がロシアと光太夫は感じもした。無い物ねだりではないだろうが、今すぐ手に入らないもの、二度と訪れることができないだろうと思慕する方向に心は揺れ動くのではないか。鎖国中の日本とは摩訶不思議なウゴキをしているものだ。


郷土資料館 - 伊勢漂民 大黒屋光太夫物語
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おろしや国酔夢譚 (文春文庫 い 2-31)
井上 靖
4167902087
登録情報
文庫: 415ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (2014/10/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167902087
ISBN-13: 978-4167902087
発売日: 2014/10/10
内容(「BOOK」データベースより)
天明二年、紀伊家の廻米を積んだ神昌丸は伊勢・白子の浦を出港し、江戸へと向かった。まもなく激しい嵐に遭遇、船頭・大黒屋光太夫以下17名の乗員は舵を失った船で漂うこと8カ月、ようやくアムチトカ島に漂着する。孤島での4年間の生活の中で一行は次々と斃れ、残るは9名。光太夫は流木を集めて船を組み、カムチャッカ半島へ向う決意を固めた。オホーツクからヤクーツク、イルクーツク、さらに女帝エカチェリーナ2世に帰国願いの直訴をすべく、西の果ての都ペテルブルグへと、厳寒のシベリアを越えてソリの旅が続く。女帝の前で卑屈になることなく堂々と謁見を了えた光太夫は、許されて遂に故国の土を踏む。あの嵐の日から実に10年。しかし、鎖国の世に〈世界〉を見てしまった男を待ち受けていた運命は…。かつて日本人はかくも輝いていた。大歴史小説。



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