『すべての見えない光』アンソニー・ドーア(著) 2017
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火曜日

ハッピーエンドの小説ではない。時は第二次世界大戦、ドイツがフランスに侵攻し、また、連合軍がドイツ軍を包囲・奪回した時代の前後がシーケンスに語られる。ドイツの少年と妹、同級生と戦友、盲目のフランスの少女と父親、叔父、彼らを中心に展開される物語。決して笑いを誘う描写はない。戦争が、その時代を生き抜いた人の以降の人生にもたらすもの、もたさなかったもの、閉ざされもたらすことすらなかったもの(生きていれば夢や希望を叶えたもの)、戦争を一括りに語ることはできないが、「戦争」を戦後世代の僕たちがきちんと見つめ直す、考えさせる機会を与えてくれる小説であった。ピュリツァー受賞作品に、粗方外れはない。

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)
アンソニー ドーア Anthony Doerr
410590129X
登録情報
単行本: 526ページ
出版社: 新潮社 (2016/8/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 410590129X
ISBN-13: 978-4105901295
発売日: 2016/8/26
内容(「BOOK」データベースより)
孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランス、サン・マロでの、二人の短い邂逅。そして彼らの運命を動かす伝説のダイヤモンド―。時代に翻弄される人々の苦闘を、彼らを包む自然の荘厳さとともに、温かな筆致で繊細に描き出す。感動巨篇。ピュリツァー賞受賞(小説部門)、カーネギー・メダル・フォー・エクセレンス受賞(小説部門)、オーストラリア国際書籍賞受賞、全米図書賞最終候補作。



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