内容紹介
耳を澄ませ、いま死者たちが甦り、語りだす
戦いで死んだ者たちが、いま静かに語りだす。語ることのみが死者となった者の唯一の武器。生者はその魂の叫びを聞き書き記す。小川未明、漱石、井上ひさし、目取真俊そして詩歌まで広範囲に収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小川/未明
1882(明15)・4・7~1961(昭36)・5・11。新潟生。早大英文科卒。中学時代、回覧雑誌に和歌や漢詩を発表したり、時事問題を論じたりした。大学では坪内逍遙に師事、卒業論文は「ラフカディオ・ハーンを論ず」。卒業後、島村抱月の勧めで新しい児童文学興隆のために「少年文庫」を編集、童話も書くが一号で廃刊。1907年、第一創作集「愁人」刊。新聞、雑誌記者の職に就くが、09年、筆一本となり、生活は困窮する
夏目/漱石
1867(慶応3)・1・5(太陽暦2・9)~1916(大5)・12・9。江戸(現・東京)生。東大英文科卒。1889年、東大の予備門である第一高等中学本科一年の時、正岡子規と知りあう。92年4月、徴兵に関連し北海道に移籍し、北海道平民として一戸を創立する。大学在学中、東京専門学校(現・早大)講師、93年、大学院に在籍しながら高等師範学校(現・筑波大)で英語教師を勤める。95年、愛媛県尋常中学(現・県立松山東高)に英語教師として赴任
江戸川/乱歩
1894(明27)・10・21~1965(昭40)・7・28。三重生。早大大学部政経学科卒。学生時代にポーやドイルの探偵小説に出会い翻訳を試みる。1916年大学卒業。六年ほど十数種の職業を遍歴した後、23年「二銭銅貨」を「新青年」に発表。その後たてつづけに短編作品を同誌に発表する。24年、専業作家として立つ決心をし、翌年「D坂の殺人事件」「心理試験」発表。探偵小説作家のパイオニアとして、創作のかたわら海外の作家作品を紹介したり、内外の作家作品を評論
鮎川/信夫
1920(大9)・8・23~86(昭61)・10・17。東京生。早大英文科中退。37年、詩誌「若草」に投稿した詩により中桐雅夫に勧められ「LUNA」に参加。39年、第一次「荒地」を森川義信らと創刊。42年、近衛歩兵第四連隊に入営、翌年4月スマトラへ出征。44年6月、傷病兵として内地送還。45年2、3月に福井の傷痍軍人療養所で「戦中手記」を執筆。12月上京、46年、詩作再開。47年、北村太郎、田村隆一、黒田三郎、中桐らと第二次「荒地」創刊
石原/吉郎
1915(大4)・11・11~77(昭52)・11・14。静岡生。東京外国語学校(現・東京外国語大)独語部貿易科卒。38年受洗。39年応召、翌年、大阪歩兵連隊内大阪露語教育隊に配属され、41年関東軍情報部に転属、ハルビンで敗戦。ソ連軍に抑留され、各地の収容所を転々とする。スパイ容疑で二五年の重労働刑を受けるが、スターリン死去による特赦で53年に帰国。三九歳で詩作を始める。投稿詩を鮎川信夫に認められ、58年「荒地」同人となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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