『エデンの東(第一部~四部』ジョン・スタインベック(著) 2016
12/17
土曜日

■第一部
「アメリカ文学の神髄」と評される本書。1952年作、ジェームス・ディーンのデビュー作として1955年映画化されている。読み終えたら観てみよう。(第四部あたりの話題だそうだ)スタインベックの描写、語りは絶品。南北戦争、開拓の様から、景色・季節のなめらかさから厳しさまで情景を自分の脳裏に掻き立てられないではいられない超絶さがある。2に進もう。

■第二部
。登場するキャッシー(ケイト)、これは何じゃ。綺麗な女には棘がある。薔薇にも刺がある。何もしなければ、鑑賞するだけなら棘も愛嬌だが、刺すトゲは毒だ、凶器だ、化け物だ、となる。キャッシーが実存する女性であるならば、スパイとか工作員とか。敢えていわせてもらえば色気で男を骨抜きにもでき、武器も使えて、先の先まで見通して行動する。棘を抜いてくれたら、こんな女と付き合ってもいい。

■第三部
キャッシー(ケイト)に対峙することを決意したアダム。腹黒・懲悪女キャッシーが心底ではアダムにタジタジ、戦き、恐々の様相を呈する。何がキャッシーの挙動・心動を揺さぶったのか。本書を読んだ方は大枠理解されたのだろう。これは万国共通ではないだろうか。正々堂々と実直に臆することなく向かい合えばよい。芯・軸がぶれないということ。簡単なようで宝くじに当たるほどに困難極まりないのかもしれない。ジャスティスだな。この定義も何を持って「正義」と見なすか、なんですね。

■第四部
いよいよ最終部、ノーベル軍学賞作家、スタインベック、エデンの東より「怒りの葡萄」の評価が高いようだが、書評家に惑わされて読書するのは愚の骨頂。物語としてはなんとなく想定どおりの路線を歩みだした。それから、各四部とも巻末の解説が深いのがすばらしい。日本じゃ本より映画でのジェームス・ディーンのデビュー作として知られている。(実のところも僕もそうであった) 映画は観たいと思うが、重要な役割を果たしている中国人のリーの出演がない。脚色でカットか。どういう魂胆だ、原作=/映画でないことは判っちゃいるが。

エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫)
ジョン・スタインベック 土屋 政雄
4151200452
登録情報
文庫: 286ページ
出版社: 早川書房 (2008/1/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4151200452
ISBN-13: 978-4151200458
発売日: 2008/1/24
商品パッケージの寸法: 15.6 x 10.6 x 1.4 cm
エデンの東 新訳版 (2) (ハヤカワepi文庫)
ジョン・スタインベック 土屋 政雄
4151200460
登録情報
文庫: 344ページ
出版社: 早川書房 (2008/1/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4151200460
ISBN-13: 978-4151200465
発売日: 2008/1/24
エデンの東 新訳版 (3) (ハヤカワepi文庫)
ジョン・スタインベック 土屋 政雄
4151200479
登録情報
文庫: 319ページ
出版社: 早川書房; 新訳版 (2008/2/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4151200479
ISBN-13: 978-4151200472
発売日: 2008/2/22
エデンの東 新訳版 (4) (ハヤカワepi文庫)
ジョン・スタインベック 土屋 政雄
4151200487
登録情報
文庫: 441ページ
出版社: 早川書房; 新訳版 (2008/2/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4151200487
ISBN-13: 978-4151200489
発売日: 2008/2/22
内容(「BOOK」データベースより)
【第一部】
コネティカットの農家に長男として生まれたアダム・トラスク。暴力を嫌い、つねに平穏を求める従順な青年に育ったが、厳格な父サイラスの愛を渇望する腹違いの弟チャールズに虐げられ、辛い日々を送っていた。サイラスは息子の弱さと兄弟の不仲を案じ、アダムにインディアン討伐の騎兵隊に参加するよう命令するが…。アメリカ文学を代表する文豪が渾身の筆で描き上げた、父と子の物語の新訳版。内容(「BOOK」データベースより)
コネティカットの農家に長男として生まれたアダム・トラスク。暴力を嫌い、つねに平穏を求める従順な青年に育ったが、厳格な父サイラスの愛を渇望する腹違いの弟チャールズに虐げられ、辛い日々を送っていた。サイラスは息子の弱さと兄弟の不仲を案じ、アダムにインディアン討伐の騎兵隊に参加するよう命令するが…。アメリカ文学を代表する文豪が渾身の筆で描き上げた、父と子の物語の新訳版。

【第二部】
謎の美女キャシーと結婚したアダムは、厳しい大自然の営みが繰り返されるカリフォルニアのサリーナスに入植した。父の遺産で肥沃な農園を買い上げ、この地に妻と子供のために永遠の楽園を創ろうと決意したのだ。だが、アダムを手助けする農夫にして天才発明家のサミュエルは、キャシーの冷たい眼差しに得体の知れない邪悪の影を見いだすのだった―世界文学史上最高の悪情が本性を現す、大河家族小説の第二部。

【第三部】
妻キャシーが去り、アダムは失意と絶望の底を彷徨っていた。だが、サミュエルと召使リーの真摯さと深い知性に触れ、アダムは自己を取り戻す。やがて、キャシーとの対決の時が訪れるが…。一方、アダムの双子の息子たちは、大人びた少年に育った。愛らしく純真なアロンとひねくれ者のキャル。美しい少女アブラと出会った二人は、彼女をめぐり争いを始める。世代交代の大きな流れが物語をのみ込む、激動の第三部。

【第四部】
アロンがアブラと親密になるかたわらで、孤独なキャルは深夜の徘徊を繰りかえしていた。彼は家族の暖かさを求め、父の愛に飢えていた。しかし、アダムは…。やがてキャルは、死んだと聞かされていた母キャシーの生存とその秘密を知る。それは、双子に襲いかかる大きな悲劇の始まりだった。父子の葛藤はなぜ繰り返されるのか?人間の自由な心とは何か?著者自らが最高傑作と認める大河巨篇、ここに堂々完結。






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