『ソ連が満洲に侵攻した夏』半藤一利(著) 2016
12/8
木曜日

『昭和史 1926-1945』『B面昭和史 1926-1945』『ノモンハンの夏』続く半藤一利氏の4冊目。ノンフィクション。しかし、終戦直前、ソ連軍が樺太から日本進撃に討ってでたことは知っていたが、同タイミングで満州国でソ連軍がどのような挙動にでたのか。何故に、満州国に残留孤児がいるのか。何故に現地に子供を託さざるを得なかったのか。ソ連の独裁者、スターリンが何を考え、米英とどのような協定を結んでいたのか。日本が終戦後、直ちに降伏していなければ日本は米英ソ中に4分割統治、分割されていたかもしれなかったこと。それが決まったのは8月16日だったということ。日本陸軍、関東軍司令部の暴発行動、それを抑制できなかった大本営、陸軍参謀本部、ノモンハンの教訓も活かされることなく、満州農業移民百万戸移住計画の名の下に移住した日本人がどのような運命を辿ったか、歴史として日本人としてしっかり記憶してほしい。衝撃だった。

ソ連が満洲に侵攻した夏
半藤 一利
4163555102
登録情報
単行本: 325ページ
出版社: 文藝春秋 (1999/07)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163555102
ISBN-13: 978-4163555102
発売日: 1999/07
商品の説明
メディア掲載レビューほか
54年前の夏、日本本土が敗戦による落胆と戦争終結の安堵に包まれていた頃、中国大陸の満州は殺戮や略奪のまっただ中にあった。1945年8月9日、日ソ中立条約を破棄したソ連が満州に侵攻、関東軍総司令部はなすすべもなく退却し、混乱の中で女性や幼児を含む大勢の民間人が見殺しにされた。この悲劇はやがて、国際法を完全に無視した「シベリア抑留」へとつながる。

無条件降伏とソ連の侵攻――。これらを招いた根本には「日本の指導層の無能無策」があると著者は言い切る。「起きてほしくないことは起こらない」とする裏付けもない楽観主義は、対日参戦を決めていたソ連に終戦の仲介をすがるという絶望的な軍部の決断につながった。

前著『ノモンハンの夏』に続き、著者は怒りを抑えた冷静な筆致で、日本の指導層の国際常識と責任感の欠如を、史実を丹念に拾い集めることで明らかにした。それは「第2の敗戦」とも称される、ここ数年の金融政策の失敗の本質とも似ているようだ。
(日経ビジネス1999/8/30号 Copyrightc日経BP社.All rights reserved.)
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