『ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭』に集録された「昔の恋人」をきっかけに、「聖母の贈り物」と続くウィリアム・トレヴァー短篇集である。アイルランドの紛争、プロテスタントvsカトリックの軋轢、抑圧されてきたカトリックの長い歴史と紛争が物語の下地にあり、ほのぼのとした作品もあれば、紛争・内争による悲劇をテーマにしたものもある。文学として誉れ高い作品として挙げる。「文学」、この括りは都合よいが曖昧模糊としているようで心苦しさもある。作品はよい、すばらしい。静寂情景に誘ってくれよう。
内容紹介 <現代で最も優れた短篇作家>ウィリアム・トレヴァー、『聖母の贈り物』につづくベスト・コレクション第2弾! 稀代のストーリーテラーが優しく、そして残酷にえぐりとる島国を生きる人々の人生模様……O・ヘンリー賞受賞作を含む全12篇。 ・目次 女洋裁師の子供 キャスリーンの牧草地 第三者 ミス・スミス トラモアへ新婚旅行 アトラクタ 秋の日射し 哀悼 パラダイスラウンジ 音楽 見込み薄 聖人たち