『戦艦大和(上下巻)』児島 襄(著) 2016
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金曜日

マリアナの七面鳥撃ちとして大部分の兵力を消滅した『あ』号作戦はご存じだろうか? 日本の航空機はパイロットの質も落ち、めった撃ちにされたのである。航空兵力はアメリカとは歴然と雲泥の差がついていた。軍艦巨砲主義による軍艦同士の一騎打ち、既に過去の戦術となっていた。その思想にしがみつき遺跡として作られたのが軍艦「大和」や「武蔵」だったのだ。日本海軍は制空権を失っていた。すなわち水上機動部隊は丸裸・丸腰と同じで戦いに挑み続けた。

さて、サイパン島放棄が決まった昭和19(1944)年7月、宇垣中将は日誌にこう書いている。「油なき海軍、如何にして活動するや。何れの方面も行き詰まり来て沈鬱に流れざるを得ず」と。油なし、航空兵力の枯渇、それでも機動部隊の総力を上げて、各種作戦を決行するのだが、うまくいくわけがない。無謀極まりない。勝算なき作戦、奇襲は万が一うまくいけば奇襲攻撃の成果があるのだが、その確率にかけようとするねじ曲がった武士道。油も調達出来ない状態で、動くに動けず、このような状態だったのだ。これは船だけではなく飛行機でも同じだった。日本は無謀な戦いをした。

大和の最期、沖縄突入作戦、浮き砲台案として、水上機特攻隊として、「一億総玉砕の先駆けとなれ」と諭されて、沖縄に向けて出航していった。海軍幹部は常識人であったが、もう止めることはできないまでになっていた。

大和の書籍は多数あると思うが、史実に基づいており、大和の誕生から沈没まで、大和を取り巻く戦いを時系列知ることが出来る本であろう。そして、46センチ主砲の射手だった村田大尉が振り返りながら人間味のある思い出を付け加えている。

戦艦大和 (上) (文春文庫)
児島 襄
4167141051
登録情報
文庫: 295ページ
出版社: 文藝春秋 (1977/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167141051
ISBN-13: 978-4167141059
発売日: 1977/12
戦艦大和 (下) (文春文庫)
児島 襄
416714106X
登録情報
文庫: 278ページ
出版社: 文藝春秋 (1979/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 416714106X
ISBN-13: 978-4167141066
発売日: 1979/12





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