『最後の将軍―徳川慶喜』司馬遼太郎(著) 2016
6/27
月曜日

徳川十五代将軍慶喜(よしのぶ)の生まれから終演まで、幕末の動乱を挟んで綴られた司馬遼太郎の書き表した徳川慶喜の小説である。徳川御三家といえば、「紀州」「尾張」「水戸」であるが、紀州、尾張の二家が大納言であるのに対し、水戸は中納言であり、一格下げた扱いをされていた。しかし他の二家より優遇されていた点は参勤交代の義務が無く江戸屋敷に常住特権が与えられていた。慶喜は、東京小石川の水戸藩で生まれている。

生まれから、幼少期、一橋、将軍後見職、徳川宗家相続から、十五代将軍、大政奉還を経て、隠居・終盤まで書かれているが、慶喜とはどのような人であったのか? 頭の回転の良さ、物事を理詰めに考え、まだ自分でやってみる体質、多趣味で、理路整然と物事を伝える様は、時代が違えば、その能力は一際、引き出されていたのかもしれない。動乱幕末の世、幕府・各藩・朝廷の中で四面楚歌、孤独の中で苦しむこともなかったのかもしれない。逆に慶喜であったからこそ最小限の流血で幕末を乗り切ったのかもしれない。生まれる時代を間違えたのだろう。

最後の将軍―徳川慶喜
司馬 遼太郎
4163170405
登録情報
単行本: 260ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1997/07)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163170405
ISBN-13: 978-4163170404
発売日: 1997/07

内容紹介
「家康以来の傑物」と世評高い慶喜が、風雲急を告げる幕末の瀬戸際に打った大きな賭け「大政奉還」の思わぬ結果と悲痛な破綻を描く





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