『昭和の犬』姫野カオルコ(著) 2015
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イクという女性が幼少から49歳まで、犬、家族、知人、親族と関わりながら身近な出来事を人間模様を描いた作品で、2014年に直木賞を受賞している。私の育った時代背景と似ているため共感しやすい部分はあった。特に灰汁が強い両親(私の両親とは真逆)との接触模様が私にはうけるのだった。

昭和の犬 (幻冬舎文庫)
姫野カオルコ
B019F74HUC
登録情報
文庫: 351ページ
出版社: 幻冬舎 (2015/12/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4344424204
ISBN-13: 978-4344424203
発売日: 2015/12/4

内容紹介
昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。

出版社からのコメント
姫野カオルコ氏からのコメント

【姫野カオルコという名前はオ×××、カラオケ、オカルトに似ているという自嘲的なものでした。コミカルにも似ていて、名前から誤解されることは、デビュー当初のほうが、むしろ少なかったように思います。が、わりと最近になって「ティーン向きの小説」「若い女性に心地よい小説」だと誤解する人がおられ、困ることがずいぶんあります。こうした誤解も含めて持ち味ということにしておこうとも思うのですが、とりあえず、私の小説はティーン向きではありません。それに場合によっては大人も不愉快にさせる小説ではないかと思います。
小学生や中学生が主人公の話はよく書きます。でも小中学生が出てくるからといって、その話が小中学生向きなわけではない。
『昭和の犬』も、題名に「犬」が付くからといって、犬のことをラブリーに綴った話ではありません。犬の可愛さを涙ながらに訴えたものでもありません。恋愛も出てきません。
ではどういう話か。現在なら「毒親」とも呼ばれる奇異な性格の父母のあいだに、昭和33年に生まれた主人公の5歳から49歳まで、各々の時期にあった何気ない出来事を、遠い風景画のように描いた話です。それらの何気ない出来事には、みな傍らに犬が(ときに猫も)います。
「犬は飼い主に似る」と言われます。他人が見てパッとすぐわかる性質のみならず、飼い主が自分自身でも気づかぬうちに内面に抱え込んだものが、飼い犬に反映していることもよくあると思います。
昭和時代は64年ありました。前半に「太平洋戦争」があり、その後は、「戦後」と呼ばれ、やがて平成に至ります。昭和から平成の間、歴史に刻まれるような派手な人生を送ってこられた人もおられましょうが、多くの人のそれは地味です。『昭和の犬』の柏木イクもまた、なんの変哲もない半生を送ってきました。そこには、小さなかなしいこともあったりしました。けれど、平凡だから幸せなこと……たとえば犬や猫の頭をなでるときの、あの心のやすらかさなど……を感じるとき、人は、幼き頃にしたように無邪気に、かつ、年を重ねた智慧で、天に向かって手を組んで祈るのではないでしょうか。人生そのものに。「ありがとう」と。(ブログより抜粋)】 --このテキストは、単行本版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)
昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。

著者について
一九五八年滋賀県出身。九〇年スラプスチック・コメディ『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー。二〇一四年本作で第一五〇回直木賞を受賞。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
姫野/カオルコ
1958年滋賀県出身。90年スラプスチック・コメディ『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー。2014年『昭和の犬』で第一五〇回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)






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