『その女アレックス』ピエール・ルメートル(著) 2015
12/23
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ヌメートルの天国でまた会おう」「悲しみのイレーヌ」に続けとばかりルメートル作品。本書は2014年にはミステリーとして君臨したようだ。ミステリーとしても確かに唸る。そして刑事仲間の絆が心地よい。主人公の警部、カミーユは小柄(145cm)というコンプレックスを持っている。イレーヌでは、(詳しくは言えないが)身近な人があのような、ああした事件に遭遇したのなら、私なら発狂しているか、自殺するか、一生ふさぎこんで、自分を責め、犯人を責め、世間を責め続けたのではないだろうか。本作は「哀しみのイレーヌ」の事件に区切りをつけたつもりでいた、いや、引き摺り続けるカミーユの続編(事件は別だが)となるのだが、カミーユの心情に共感せずには済まされない。それからまだ読まれていない方はイレーヌ→アレックスと順番に読まれることをお勧めする。テーマは何だろう? 何に正義を見出せばいいか、ミステリーという冠詞を除外しても読み物として成立する「情」が張り巡らされているとも感じるが。素直にハラハラドキドキもたくさんある。

その女アレックス (文春文庫)
ピエール ルメートル 橘 明美
416790196X
登録情報
文庫: 457ページ
出版社: 文藝春秋 (2014/9/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 416790196X
ISBN-13: 978-4167901967
発売日: 2014/9/2

内容紹介
「週刊文春2014年ミステリーベスト10」堂々1位! 「ミステリが読みたい! 」「IN POCKET文庫翻訳ミステリー」でも1位。早くも3冠を達成した一気読み必至の大逆転サスペンス。貴方の予想はすべて裏切られる――。

おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。
ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、慟哭と驚愕へと突進する。

「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。






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