『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル(著) 2015
12/18
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ヌメートルの天国でまた会おう」を読了し、彼の他作を読まなくてどうするの強迫観念に苛まれていた。煩悩の辛苦を早急に解消するために本書を手にする以外の道はない。「その女アレックス」は2014年に国内でも人気作品となったが、シリーズものは第一作目から読むのがセオリーである。登場人物の過去の出来事、事件が経歴として脳襞に刻まれており連続性があるからである。第一作を読んでいれば、次作以降では何故そのように考えるのか、読み手が迷うことはない。ですから、シリーズ作品は一作目から丁寧に読み進めるに限る。

ミステリー殺人小説に書かれた殺人描写を真似た殺人事件が発生する。掘り起こせば過去にも同類の殺人事件が・・・ 惨殺きわまりない状況描写は絶叫寸前の血生臭さである。保証する。ですから気の弱い方は一度胃に落とした練り物が逆上してしまうかもしれない。恐らく。激烈描写であることは秘密にしておいたほうがいいかもしれない。(既に遅し)

感想を述べるなら、最初から最後までハラハラ感が途切れることはなく、惰眠感覚に一度も落ちることなく、ほっと休ませてくれることもなく緊張を最大にブーストしてくれるでしょう。警察仲間の息のあったところ、会話の妙、犯人がどのように絞れ込まれていくのか? そして最後の結末(僕は察してましたが)はハッピーエンドにはならない。子を持つ親なら猶更、胸を切り裂かれるような苦しみに浸けられたまま本書は終わるのである。それもありである。ということで「その女アレックス」を読み始めている。

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)
ピエール・ルメートル
4167904802
登録情報
文庫: 472ページ
出版社: 文藝春秋 (2015/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167904802
ISBN-13: 978-4167904807
発売日: 2015/10/9

内容紹介
『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作

連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。






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