『ヴァルカンの鉄鎚』フィリップ・K.ディック(著) 2015
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フィリップ・K.ディック、読了38冊目。初翻訳という。まだ、未訳があったとは不思議ではある。「面白い本ほど先に翻訳される法則」に照らし合わせると、F.K.Dの没後30年にして初訳出版される本書の内容は如何なものか? 疑問符を100個ほど連ねたくなるのが人情というもの。ダメ元で兎にも角にも、満を持してかどうか、火蓋は切って落とされたほど華々しくもないのではあるが、賽は投げられた的エイヤーな面持ちで読んだのであった。

しかし、ディックらしからぬストーリーの辻褄捻れはなく、素直にまともではないか。(彼を知らぬ方は無茶苦茶破天荒な作家だと思ってはいけない)そこそこ面白いのである。時代背景も考えて欲しい。1960年にダブルブックとしてアメリカでリリースされた。(※ダブルブックとは:2編(2話)が一冊になっており、表と裏が逆向きになっていてどちらからでも楽しめる長編まで行かない中編ちょい長なSF小説)

期待を裏切る、まずまず、ではなく、捨てたものじゃない。めっけものなのである。

★フィリップ・キンドレド・ディック
(Philip Kindred Dick, 1928年12月16日 - 1982年3月2日)はアメリカのSF作家。
SF小説(長編) 1 ■偶然世界(太陽クイズ) Solar Lottery (Quizmaster Take All) (1955年)
2 ■ジョーンズの世界 The World Jones Made (Womb for Another) (1956年)
3 □いたずらの問題 The Man who Japed (1956年)
4 ■虚空の眼(宇宙の眼) Eye in the Sky (1957年)
5 ■時は乱れて Time out of Joint (Biography in Time) (1959年)
6 ■高い城の男 The Man in the High Castle (1962年)
7 ■タイタンのゲーム・プレーヤー The Game-Players of Titan (1963年)
8 □アルファ系衛星の氏族たち Clans of the Alphane Moon (1964年)
9 ■火星のタイム・スリップ Martian Time-Slip (1964年)
10 □最後から二番目の真実 The Penultimate Truth (1964年)
11 □シミュラクラ The Simulacra (1964年)
12 □ドクター・ブラッドマネー(ブラッドマネー博士) Dr. Bloodmoney (1965年)
13 ■パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 The Three Stigmata of Palmer Eldritch (1965年)
14 ■去年を待ちながら Now Wait for Last Year (1966年)
15 (未購入)ライズ民間警察機構(テレポートされざる者) Lies,INC. (The Unteleported Man) (1966年)
16 □逆まわりの世界 Counter-Clock World (1967年)
17 (未購入)ザップ・ガン The Zap Gun (1967年)
18 ■アンドロイドは電気羊の夢を見るか? Do Androids Dream of Electric Sheep? (1968年)
見つからず 19 (未購入)銀河の壺直し Galactic Pot-Healer (1969年)
20 □ユービック Ubik (1969年)
途中放棄 21 □死の迷路(死の迷宮) A Maze of Death (1970年)
22 ■フロリクス8から来た友人 Our Friend from Frolix 8 (1970年)
23 ■あなたをつくります(あなたを合成します) We Can Build You (1972年)
24 ■流れよ我が涙、と警官は言った Flow my Tears, the Policeman Said (1974年)
25 □怒りの神 Deus Irae (1976年)(ロジャー・ゼラズニイとの共作)
26 ■スキャナー・ダークリー (暗闇のスキャナー) A Scanner Darkly (1977年)
27 □ヴァリス VALIS (1981年)
28 □聖なる侵入 The Devine Invasion (1981年)
29 □ユービック:スクリーンプレイ Ubik:The Screenplay(1985年)
30 (未購入)アルベマス Radio Free Albemuth (1985年)
31 ■ニックとグリマング Nick and the Glimmung (1988年)※児童向け (2015.9.24読了)
32 ■未来医師
33 ■空間亀裂 (2013.6.24読了)
34 □ガニメデ支配 P・K.ディック&レイ・ネルスン 出版社: 東京創元社 (2014/6/28)
35 ■ヴァルカンの鉄鎚 出版社: 東京創元社 (2015/5/29出版) (1960年)
SF小説(短編集) 36 ■地図にない町(1976年)
37 ■人間狩り(1982年・1991年・2006年)
38 ■パーキーパットの日々(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック I)The Best of Phillip K. Dick 二分冊の一巻(1977年)
39 ■時間飛行士へのささやかな贈り物(サ・ベスト・オブ・P・K・ディック II)The Best of Phillip K. Dick 二分冊の二巻(1977年)
40 ■顔のない博物館(1983年)
41 ■宇宙の操り人形(1984年・1992年)
42 ■ウォー・ゲーム(1985年・1992年)
43 ■ゴールデン・マン(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック III)The Golden Man 二分冊の一巻(1980年)
44 ■まだ人間じゃない(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック IV)The Golden Man 二分冊の二巻(1980年)
45 ■悪夢機械(1987年)(2015.10.19読了)
46 ■模造記憶(1989年)
47 ■ウォー・ベテラン(1992年)
48 ■永久戦争(1993年)
49 ■マイノリティ・リポート(1999年)
50 ■シビュラの目(2000年)
51 ■ペイチェック(2004)
一般小説 52 ■戦争が終わり、世界の終わりが始まった Confessions of a Crap Artist (1975年)
53 ■ティモシー・アーチャーの転生 The Transmigration of Timothy Archer (1982年)
54 ■小さな場所で大騒ぎ Puttering about in a Small Land (1985年)
55 ■メアリと巨人 Mary and the Giant (1987年)
ノンフィクション 56 ・ラスト・テスタメント P・K・ディックの最後の聖訓(グレッグ・リックマン編)
Philip K. Dick the Last Testament Philip K. Dick (1985年) -インタビュー
57 ・フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明(ロランス・スーティン編)Divine Invasions: The Life of Philip K. Dick (1990年)
58 ・フィリップ・K・ディックのすべて -ノンフィクション集成(ローレンス・スーチン編) The Shifting Realities of Philip K. Dick (1995年)
映画化された作品 59 △アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(1982年に『ブレードランナー』として映画化)
60 △追憶売ります(1990年に『トータル・リコール』として映画化)
61 △戦争が終わり、世界の終わりが始まった(1992年に『バルジョーでいこう!』として映画化)
62 △変種第二号(1996年に『スクリーマーズ』として映画化)
63 △にせもの(2001年に『クローン』として映画化)
64 △少数報告(2002年に『マイノリティ・リポート』として映画化)
65 △報酬(2003年に『ペイチェック 消された記憶』として映画化)
66 △暗闇のスキャナー(2006年に『スキャナー・ダークリー』として映画化)
67 △ゴールデンマン(2007年に『ネクスト』として映画化)
※原題 のないものは日本で編纂されたもの
■既読 38
□未読(手元あり) 13
○購入中 0
未購入 4
△映画 9
合計 55



ヴァルカンの鉄鎚 (創元SF文庫)
P・K・ディック 佐藤 龍雄
4488696228
登録情報
文庫: 272ページ
出版社: 東京創元社 (2015/5/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4488696228
ISBN-13: 978-4488696221
発売日: 2015/5/29

内容(「BOOK」データベースより)
20年以上続いた核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定をコンピュータ“ヴァルカン3号”に委ねた。極秘とされるその設置場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だがこうした体制に反対するフィールズ大師は、“癒しの道”教団を率いて政府組織に叛旗を翻した。ディルは早々に大師の一人娘を管理下に置くが。ディック最後の本邦初訳長編SF。






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