『バウドリーノ(上下巻)』ウンベルト・エーコ(著) 2015
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日曜日

今までとは毛色の違う娯楽小説擬き、といえばいいか。頃は、11xx年、ギリシャも神聖ローマ帝国として統治されていた。ほら吹きで農民の子、バウドリーノはふとしたことからフリードリヒローマ帝国に気に入られ養子となる。バウドリーノの幼少から老齢期を通しての物語である。ギリシャにあるアレッサンドリアの街が作られる前後の背景や、摩訶不思議な出で立ちをした動物とも言えぬ人間の言葉を喋る怪人が登場する。東方にあるとされる帝国ヨハネを目指して仲間たちと旅立つ物語もフィクションたっぷりなのであるが、第三回十字軍の遠征があった時代背景は上手く描写されているのではないか。血生臭い決闘、処罰(やたらと罰は眼をくり抜かれることが多々あり)、土埃、砂漠、石畳、粗末な食事、庶民の衣装、それと対極に位置する皇帝・貴族。キリストの遺した聖遺品を模造して売りつけようとか、架空の人物や物語をあたかも見てきたように語り、また、そのような物語に飢えていた時代であった部分はノンフィクションなのであろう。

バウドリーノ(上)
ウンベルト・エーコ Umberto Eco
4000244272
ハードカバー: 360ページ
出版社: 岩波書店 (2010/11/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4000244272
ISBN-13: 978-4000244275
発売日: 2010/11/11
バウドリーノ(下)
ウンベルト・エーコ Umberto Eco
4000244280
 ハードカバー: 360ページ
出版社: 岩波書店 (2010/11/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4000244280
ISBN-13: 978-4000244282
発売日: 2010/11/11

内容(「BOOK」データベースより)
<上巻>『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したウンベルト・エーコが、ふたたび中世を舞台に放つ物語。神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサに気に入られて養子となった農民の子バウドリーノが語りだす数奇な生涯とは…。言語の才に恵まれ、語る嘘がことごとく真実となってしまうバウドリーノの、西洋と東洋をまたにかけた冒険が始まる。

<下巻>今こそ聖なる杯グラダーレを返還するために司祭ヨハネの王国への道を切り開くのだ!―皇帝ひきいる軍勢とともに、バウドリーノと仲間たちはいよいよ東方への旅に乗り出すが、待ち受けていたのは思いもかけない運命だった。史実と伝説とファンタジーを絶妙に織りまぜて、エーコが遊びごころたっぷりに描きだす破天荒なピカレスク・ロマン。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
エーコ,ウンベルト
1932年、北イタリアのアレッサンドリアに生まれる。世界的な記号論学者にしてヨーロッパを代表する知識人。評論・創作に幅広く活躍する。







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