『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』リチャード・イエーツ(著) 2015
9/23
水曜日

映画タイタニックで共演したレオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレットの再共演というころで映画化され話題となった原作。S.キング一押し作品でもあるわけで本書を手に取った。既に他界された著者イエーツ、上手いですね。まず、状況描写が絶品。擬人・比喩が作家になるには備えておかなければならぬセンスを具備しており上品に上手い。(マラムッドを3冊連読した後だけに余計に感じるのだろうか、マラムッドはたとえ描写は皆無だったので) そして、男と女の会話の絶妙。男がこうしかけると、女はほぼ十中八九、このような言葉で切り返し、一刺す。または、男はそのように思っていない発言であっても、女の思考回路ではこう解釈する。男女間には性差が無くなることがない限り、避けては通れぬ深くて暗い河があるのである。経験則的に思考パターン、思考回路に限りなく共感してしまうのである。(世界共通か?)

さて、文末に(ストーリーはバラしませんが)このような文章があった。
「泣くときに大切なことは、それがお涙ちょうだいの猿芝居になる前にやめることだ。悲嘆にくれるとき大切なのは、それがまだ本物のうちに、まだ意味のあるうちに断ち切ることだろう。それはあまりにも腐敗しやすいからである。それに身をまかせれば、人はすぐに自分の涙を美化するようになり・・・」
どうでしょう、コアに直撃するスクリューミサイルの”言い表し”だと僕は感心したんだけれど。

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで (ヴィレッジブックス)
リチャード・イエーツ 村松潔
4863321066
 登録情報
文庫: 469ページ
出版社: ヴィレッジブックス (2008/12/15)
ISBN-10: 4863321066
ISBN-13: 978-4863321069
発売日: 2008/12/15

内容(「BOOK」データベースより)
美しい妻エイプリル、かわいらしい娘と息子、郊外にあるマイホーム―。大企業の一員としてニューヨークの街で「死ぬほど退屈な仕事」につきながらも、そのすべてに囲まれて、フランクの人生は順調だった。だが30歳が目前に迫ったとき、妻の思い切った行動がきっかけで、理想の生活にひびが入ってしまう。その瞬間から色あせていく幸せな日常。もっと自由な暮らしを夢見ていたはずではなかったか?夫以上に不本意な毎日を過ごし、苦しんでいたエイプリルは、ある提案をするのだが…。人生で出会ういくつもの真実の瞬間を鋭く切り取った、世代を超える大ベストセラー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
イエーツ,リチャード
1926年アメリカ・ニューヨーク生まれ。第二次世界大戦に従軍後、ジャーナリスト兼フリーライターとして活躍、ロバート・ケネディ上院議員のスピーチ・ライターなどもつとめた。1961年『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』で小説家としてデビュー、いきなり全米図書賞の最終候補に残る快挙を成し遂げる。その後、コロンビア大学やボストン大学で教鞭をとりながら8作の小説を発表した。1992年没







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