『二重人格』ドストエフスキー(著) 2015
8/16
日曜日

7月5日に観た映画の感想をFBに投稿した。『レンタルになったばかりの『嗤う分身』を観た。イライラしてじれったい、あぁぁと感じつつ、グルグル渦巻き状に水洗トイレのように引き込まれますね。全編が暗いトーンで独裁的時代の寒々といった世界観ですわ。原作ドストエフスキーの二重人格をアマゾンに注文したけれど、二重人格の題名は翻訳違いで、二重人格の意味を取り違えている。本映画ではコンプレックスのある自分が幻影として理想の自分を作り出していく。理想の自分がやりたい放題で、僕もこんな幻影を作り出したいわ。つい先日観たソーシャルネットワークの主役だった主役のジェシー・アイゼンバーグいい、エリック・マーティン(MR.BIG voc)に似てる。弟か。アリス・イン・ワンダー・ランド主役だったミア・ワシコウスカもいい。変わった名字だ。』
そこで、インスパイアされ原書となったドストエルスキーを読んだ。(DVDは時代背景、場面設定も変更されている)そもそも二重人格とは同じ人物が時間軸に従ってスイッチし、性格も話方も筆跡も別の人物となって、双方、互いの人格のことを覚えていない、というものである。ですから、本書のタイトル「二重人格」は正しいタイトルではなく、贔屓目にみても不正確であり「幻覚」、「幻影」というほうが好ましい。主人公は、自分のコンプレックスから理想とするもう一人の自分を作り出してしまい、同時進行で互いに対話しながらストーリーは展開していくのである。僕は、この主人公ドリャートスキンの一挙手一投足に苛立ちが渦巻くように募っていった。そして主人公は気が弱いのに嫉妬心・猜疑心が充満しており、都合の悪いことは自分流に自分都合に解釈をしてしまう変態能力があるのである。さて、本書はロシアの1845年の作品であるから、江戸時代末期、尊王攘夷の機運が形作られようとしていた時代である。書物というものは年代を超えて読み継がれる文明・文化、人間の英知であるのだから、本書もその一冊として大切に継承していく必要があると頷いてよい。

二重人格 (岩波文庫)
ドストエフスキー 小沼 文彦
4003261321
登録情報
文庫: 326ページ
出版社: 岩波書店; 改版 (1981/8/16)
ISBN-10: 4003261321
ISBN-13: 978-4003261323
発売日: 1981/8/16

内容(「BOOK」データベースより)
主人公は小心で引っこみ思案の典型的小役人。家柄も才能もないが、栄達を望む野心だけは人一倍強い。そんな内心の相克がこうじたあまり、ついにもう1人の自分という幻覚が現れた!精神の平衡を失い発狂してゆく主人公の姿を通して、管理社会の重圧におしひしがれる都市人間の心理の内奥をえぐった巨匠(1821‐81)の第2作。







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