『軍神-遺された女たちの十字架-』佐藤早苗(著) 2015
5/23
土曜日

戦争は軍人、召集された人たちだけが、戦地で命を削りあって戦うものではないとしている。本書では、軍人の妻、姉妹、母として、日本国内における彼女たちの戦争体験であった。空襲や慢性的な飢え、荒んだ心が起こす窃盗・詐欺に騙されたり、いやはや頻繁にあった時代でもあったのだ。著者は女性記者であり、女性としての視点から、戦地ではなく裏側から家族が見据えた夫を、本中に登場する女性にインタビューしながら、戦争時の思い出、記録だけではなく世間の風、心温まる温情であったり、空襲の恐怖絵的情景をも炙っている。中でも第四話「戦艦大和」艦長を夫に持つ妻の話題が挿話されている。大和総員特攻となった前後の状況や、戦艦大和が攻撃を受け、沈没するまでの描写は鮮烈過ぎて、ここでは書けない。

軍神―遺された女たちの十字架
佐藤 早苗
4769802218
登録情報
単行本: 270ページ
出版社: 光人社 (1983/01)
言語: 日本語
ISBN-10: 4769802218
ISBN-13: 978-4769802211
発売日: 1983/01

第一話 奇蹟〈酒井正俊海軍少佐の母・姉妹〉
第二話 濁川〈小林国治海軍中佐の妻・妹〉
第三話 手紙〈千早猛彦海軍大佐の妻〉
第四話 訣別〈有賀幸作海軍中将の妻〉
第五話 遺髪〈安田義達海軍中将の妻〉
エピローグ〈東條英機陸軍大将の妻〉






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