『越境』コーマック・マッカーシー(著) 2015
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水曜日

コーマック・マッカーシー原作の『国境三部作 -The Border Trilogy-』である一作目「すべての美しい馬」に続く第二作目にあたる。深い、純粋に文学として深い。限りなく深い。この荒涼感と一途感と情景描写とアウトローながら人間愛と動物愛が迸っている。しかしながら真逆の悪のパワーも夥しく蠢いている。対立する<善VS悪>間の要素は小説には欠かせざるものではあるが、マッカーシーにかかると魔法が生まれるように思われる。

越境 (ハヤカワepi文庫)
コーマック・マッカーシー 黒原敏行
4151200568
登録情報
文庫: 675ページ
出版社: 早川書房 (2009/9/10)
ISBN-10: 4151200568
ISBN-13: 978-4151200564
発売日: 2009/9/10

内容(「BOOK」データベースより)
十六歳のビリーは、家畜を襲っていた牝狼を罠で捕らえた。いまや近隣で狼は珍しく、メキシコから越境してきたに違いない。父の指示には反するものの、彼は傷つきながらも気高い狼を故郷の山に帰してやりたいとの強い衝動を感じた。そして彼は、家族には何も告げずに、牝狼を連れて不法に国境を越えてしまう。長い旅路の果てに底なしの哀しみが待ち受けているとも知らず―孤高の巨匠が描き上げる、美しく残酷な青春小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
マッカーシー,コーマック
1933年、ロードアイランド生まれ。大学を中退すると、1953年に空軍に入隊し四年間の従軍を経験。その後作家に転じ着々と評価を高め、「国境三部作」の第一作となる第六長篇『すべての美しい馬』(1992)(ハヤカワepi文庫)で全米図書賞、全米批評家協会賞をダブル受賞した。その後、三部作の続篇となる『越境』(1994)『平原の町』(1998)を発表。第九長篇『血と暴力の国』(2005)を原作とした映画『ノーカントリー』は、2008年アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した







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