「ハリー・ボッシュ」シリーズではないマイクル・コナリーの小説。今回は、新聞記者と女性FBI捜査官、そして世間的には優秀天才でありながら、心の捻れた連続殺人犯との挑み合う展開に自然と引き摺り込まれてしまった。世界的に新聞業界はネット上のリアリティある記事に押され、発行部数は軒並み低迷し続けている事実にも目が配られている。IT時代に自社の情報をホスティングすることでセキュリティ確保と個人情報保護と維持にかかるコスト削減が今の潮流で、自前で設備を打つ企業は減少傾向であろう。データセンタのサーバの構築・維持、入室セキュリティ、防災など、本書ではかなり詳しく述べられているが、仕事柄経験則もあり楽しく読めた。また、インターネットに罠をしかけ獲物を捕獲するやり口は今のネット世界・時代に追従しているであろう。
しかしながら、何でもそうであるが、情報を操作し、コントロールし、マネージメントするのは人である。仕事は優秀であっても心理的に健全でなければならない。性的倒錯は子供時代の育ち方、経験に根差していることは確実である。だから、子供を愛情をもって躾をしていくことは大事なのであるが、その親もその親の育てられ方を踏襲していることの確率大である。連鎖はどこで断ち切るのだろう。
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