『ナイトホークス(上下巻)』マイクル・コナリー著 2014
7/4
金曜日

マイクル・コナリー著の「ハリー・ボッシュ」シリーズ、読破計画開始、ミッション・ポシブル。これは第一作、『ナイトホークス』。主人公である刑事ハリー・ボッシュは、まさにヒーローであるが、ヒーローであるための条件は何であろうか?自分流に思い浮かべると、
 ・無茶苦茶に強い
 ・悪に立ち向かい、正義を貫く
 ・理念・信念が一貫していてぶれない
 ・どんなことにもへこたれない
 ・自分の考えを常に信じ、物事を突き詰めていく
 ・頭脳明晰、頭の回転が速い
 ・沈着冷静、命が危険に晒される非常時にも落ち着いて行動する
 ・人の死や悲しみに対して人情脆い
 ・女性に対して口下手でストレートに愛を語れない
 ・しかし、時々、ダンディーになれる

と分析してみた。

とまあ、私にはないことばかりであるが、これだけではヒーローにはなれない。
 ・過去の辛い出来事にいまだに引きづられ、苦しんでいる
 ・同じくトラウマがあって、同一条件下に置かれるとパニックに陥る
 ・孤独である
 ・人から誹謗中傷が絶えない


仮面ライダーに改造された本郷猛と同じく、人に言えぬ過去、孤独を背負っているのがヒーローが具備する必要十分条件である。(ここで悪の背景があからさまに違っていて、仮面ライダー/本郷猛が闘う悪は秘密結社ショッカーであり、架空の悪であるのに対し、ハリーボッシュが挑む悪は利権、金権、組織力、政治・政策が絡み合って悪の姿を形成しているところに違いがある。後者にリアリティがあるのは自明の理である)

さて、かっこよく、女にモテモテ、滅法強いだけでは、読者がそれに対し感情移入し崇めることはない。ヒーローは、同じ人間として弱い部分もあるのだよ、それを克服しながら悪に対峙するのだよ、に惹きつけられるといってよいからだ。ヒロイズムを定義するならば奥行きが深く広いのだ。誰しもが憧れるヒーローとは、その人自身がヒーローだと決して考えてもおらず、間違っても自惚れていないことだ。僕はそう思うし、大方の皆さんも同じではなかろうか。

さて、本書の原題は"The Black Echo"であるが、邦題は「ナイトホークス」となっている。これはエドワード・ホッパー『夜ふかしをする人たち(Nighthawks)』(1942)の絵画から拝借されたものである。ストーリーの伏流としてハリー・ボッシュの心情を炙りだすための小道具のひとつにもなっている。今回は、一切ネタばらしはしない。




 -痛快・豪快なストーリー展開
 -二転三転と新事実が暴露
 -実らぬ大人の恋
 -まだまだ続く期待感

そして、第二段「ブラック・アイズ」を読み始めたくて、ウズウズ状態なのである。

『ナイトホークス〈上下巻〉』マイクル・コナリー(著) ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)
マイクル コナリー Michael Connelly
4594010415
 登録情報
文庫: 330ページ
出版社: 扶桑社 (1992/10)
ISBN-10: 4594010415
ISBN-13: 978-4594010416
発売日: 1992/10
ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)
マイクル コナリー Michael Connelly
4594010466
登録情報

文庫: 319ページ
出版社: 扶桑社 (1992/10)
ISBN-10: 4594010466
ISBN-13: 978-4594010461
発売日: 1992/10
【上巻】
内容(「BOOK」データベースより)
ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。

【下巻】
内容(「BOOK」データベースより)
ボッシュは身内であるロス市警の監視に邪摩されながらもFBIの女捜査官エレノアとの捜査を継続。なんとかメドーズの仲間らしき人物を特定するが、片や事件の目撃者の少年は何者かに殺されてしまう。同時に銀行強盗事件の洗い直しで不審なヴェトナム人を発見、男に会いに行こうとした矢先、ボッシュらは謎の車に殺されかける。やはり内通者が…。ボッシュの疑念が増す中、事件は新たな局面へ。ヴェトナムを生き抜いた一匹狼の刑事が迷い込む、迷路のようなLAの悪夢を描き切る、期待の新鋭の力作。


# 邦題 原題 刊行年 刊行年月 ISBN 出版社 訳者
1 ナイトホークス The Black Echo 1992年 1992年10月 上巻:ISBN 4-594-01041-5 扶桑社 古沢嘉通
下巻:ISBN 4-594-01046-6
2 ブラック・アイス The Black Ice 1993年 1994年5月 ISBN 4-594-01417-8
3 ブラック・ハート The Concrete Blonde 1994年 1995年5月 上巻:ISBN 4-594-01818-1
下巻:ISBN 4-594-01819-X
4 ラスト・コヨーテ The Last Coyote 1995年 1996年6月 上巻:ISBN 4-594-02000-3
下巻:ISBN 4-594-02001-1
5 トランク・ミュージック Trunk Music 1997年 1998年6月 上巻:ISBN 4-594-02513-7
下巻:ISBN 4-594-02514-5
6 エンジェルズ・フライト(改題) 2006年1月 上巻:ISBN 4-594-05096-4
下巻:ISBN 4-594-05097-2
7 夜より暗き闇 A Darkness More Than Night 2001年 2003年7月 上巻:ISBN 4-06-273793-0 講談社文庫
下巻:ISBN 4-06-273794-9
8 シティ・オブ・ボーンズ City of Bones 2002年 2002年12月 ISBN 4-15-208462-6 早川書房
2005年2月 ISBN 4-15-175201-3 ハヤカワ文庫
9 暗く聖なる夜 Lost Light 2003年 2005年9月 上巻:ISBN 4-06-275184-4 講談社文庫
下巻:ISBN 4-06-275185-2
10 天使と罪の街 The Narrows 2004年 2006年8月 上巻:ISBN 4-06-275476-2
下巻:ISBN 4-06-275493-2
11 終決者たち The Closers 2005年 2007年9月 上巻:ISBN 978-4-06-275847-5
下巻:ISBN 978-4-06-275854-3
12 エコー・パーク Echo Park 2006年 2010年4月 上巻:ISBN 978-4-06-276627-2
下巻:ISBN 978-4-06-276628-9
13 死角 The Overlook 2007年 2010年12月 ISBN 978-4-06-276850-4
14 - Nine Dragons 2009年
15 - The Drop 2011年
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