マイクル・コナリー著の「ハリー・ボッシュ」シリーズ、読破計画開始、ミッション・ポシブル。これは第一作、『ナイトホークス』。主人公である刑事ハリー・ボッシュは、まさにヒーローであるが、ヒーローであるための条件は何であろうか?自分流に思い浮かべると、
・無茶苦茶に強い
・悪に立ち向かい、正義を貫く
・理念・信念が一貫していてぶれない
・どんなことにもへこたれない
・自分の考えを常に信じ、物事を突き詰めていく
・頭脳明晰、頭の回転が速い
・沈着冷静、命が危険に晒される非常時にも落ち着いて行動する
・人の死や悲しみに対して人情脆い
・女性に対して口下手でストレートに愛を語れない
・しかし、時々、ダンディーになれる
と分析してみた。
とまあ、私にはないことばかりであるが、これだけではヒーローにはなれない。
・過去の辛い出来事にいまだに引きづられ、苦しんでいる
・同じくトラウマがあって、同一条件下に置かれるとパニックに陥る
・孤独である
・人から誹謗中傷が絶えない
仮面ライダーに改造された本郷猛と同じく、人に言えぬ過去、孤独を背負っているのがヒーローが具備する必要十分条件である。(ここで悪の背景があからさまに違っていて、仮面ライダー/本郷猛が闘う悪は秘密結社ショッカーであり、架空の悪であるのに対し、ハリーボッシュが挑む悪は利権、金権、組織力、政治・政策が絡み合って悪の姿を形成しているところに違いがある。後者にリアリティがあるのは自明の理である)
さて、かっこよく、女にモテモテ、滅法強いだけでは、読者がそれに対し感情移入し崇めることはない。ヒーローは、同じ人間として弱い部分もあるのだよ、それを克服しながら悪に対峙するのだよ、に惹きつけられるといってよいからだ。ヒロイズムを定義するならば奥行きが深く広いのだ。誰しもが憧れるヒーローとは、その人自身がヒーローだと決して考えてもおらず、間違っても自惚れていないことだ。僕はそう思うし、大方の皆さんも同じではなかろうか。
さて、本書の原題は"The Black Echo"であるが、邦題は「ナイトホークス」となっている。これはエドワード・ホッパー『夜ふかしをする人たち(Nighthawks)』(1942)の絵画から拝借されたものである。ストーリーの伏流としてハリー・ボッシュの心情を炙りだすための小道具のひとつにもなっている。今回は、一切ネタばらしはしない。
-痛快・豪快なストーリー展開
-二転三転と新事実が暴露
-実らぬ大人の恋
-まだまだ続く期待感
そして、第二段「ブラック・アイズ」を読み始めたくて、ウズウズ状態なのである。
『ナイトホークス〈上下巻〉』マイクル・コナリー(著)
ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー) マイクル コナリー Michael Connelly
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登録情報
文庫: 330ページ
出版社: 扶桑社 (1992/10)
ISBN-10: 4594010415
ISBN-13: 978-4594010416
発売日: 1992/10 |
ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー) マイクル コナリー Michael Connelly
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登録情報
文庫: 319ページ
出版社: 扶桑社 (1992/10)
ISBN-10: 4594010466
ISBN-13: 978-4594010461
発売日: 1992/10 |
【上巻】 内容(「BOOK」データベースより)
ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。
【下巻】 内容(「BOOK」データベースより)
ボッシュは身内であるロス市警の監視に邪摩されながらもFBIの女捜査官エレノアとの捜査を継続。なんとかメドーズの仲間らしき人物を特定するが、片や事件の目撃者の少年は何者かに殺されてしまう。同時に銀行強盗事件の洗い直しで不審なヴェトナム人を発見、男に会いに行こうとした矢先、ボッシュらは謎の車に殺されかける。やはり内通者が…。ボッシュの疑念が増す中、事件は新たな局面へ。ヴェトナムを生き抜いた一匹狼の刑事が迷い込む、迷路のようなLAの悪夢を描き切る、期待の新鋭の力作。 |
# |
邦題 |
原題 |
刊行年 |
刊行年月 |
ISBN |
出版社 |
訳者 |
1 |
ナイトホークス |
The Black Echo |
1992年 |
1992年10月 |
上巻:ISBN 4-594-01041-5 |
扶桑社 |
古沢嘉通 |
下巻:ISBN 4-594-01046-6 |
2 |
ブラック・アイス |
The Black Ice |
1993年 |
1994年5月 |
ISBN 4-594-01417-8 |
3 |
ブラック・ハート |
The Concrete Blonde |
1994年 |
1995年5月 |
上巻:ISBN 4-594-01818-1 |
下巻:ISBN 4-594-01819-X |
4 |
ラスト・コヨーテ |
The Last Coyote |
1995年 |
1996年6月 |
上巻:ISBN 4-594-02000-3 |
下巻:ISBN 4-594-02001-1 |
5 |
トランク・ミュージック |
Trunk Music |
1997年 |
1998年6月 |
上巻:ISBN 4-594-02513-7 |
下巻:ISBN 4-594-02514-5 |
6 |
エンジェルズ・フライト(改題) |
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2006年1月 |
上巻:ISBN 4-594-05096-4 |
下巻:ISBN 4-594-05097-2 |
7 |
夜より暗き闇 |
A Darkness More Than Night |
2001年 |
2003年7月 |
上巻:ISBN 4-06-273793-0 |
講談社文庫 |
下巻:ISBN 4-06-273794-9 |
8 |
シティ・オブ・ボーンズ |
City of Bones |
2002年 |
2002年12月 |
ISBN 4-15-208462-6 |
早川書房 |
2005年2月 |
ISBN 4-15-175201-3 |
ハヤカワ文庫 |
9 |
暗く聖なる夜 |
Lost Light |
2003年 |
2005年9月 |
上巻:ISBN 4-06-275184-4 |
講談社文庫 |
下巻:ISBN 4-06-275185-2 |
10 |
天使と罪の街 |
The Narrows |
2004年 |
2006年8月 |
上巻:ISBN 4-06-275476-2 |
下巻:ISBN 4-06-275493-2 |
11 |
終決者たち |
The Closers |
2005年 |
2007年9月 |
上巻:ISBN 978-4-06-275847-5 |
下巻:ISBN 978-4-06-275854-3 |
12 |
エコー・パーク |
Echo Park |
2006年 |
2010年4月 |
上巻:ISBN 978-4-06-276627-2 |
下巻:ISBN 978-4-06-276628-9 |
13 |
死角 |
The Overlook |
2007年 |
2010年12月 |
ISBN 978-4-06-276850-4 |
14 |
- |
Nine Dragons |
2009年 |
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15 |
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The Drop |
2011年 |
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既読 |
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