『ギボンの月の下で』レイフ・エンガー(著) 2014
8/4
月曜日

家族愛、父(ジュレマイア)、兄(デーヴィ)、弟(ルーベン:本書の語り部)、妹(スウィード)の仲がうらやましいほどに相互に思いやりがあり、仲睦まじい。そんな最中、兄が事件に巻き込まれ、殺人事件を犯してしまう。途中割愛するが、その兄は脱獄し、父と弟、妹が兄を探しに旅立つ。その中でいろんな出来事が起こる。(ネタばらしはここまで) 

ジュレマイアは不思議な力を持ち合わせている。ここだけはグリーンマイル(S.キング著)の治癒力に近しいものがある。確かに、父の宗教心は強く、日本人全般に希薄な宗教心では疑問の声が上がる。「そこまで祈るか?」「それで何か変わるのか?」ではあるのだが・・・

それはさておいても僕の心に余りある訴求力で迫ってくるし、寒さ、自然の力、暖かい旧友、温かな料理、カントリーな生活様式がストーリーを底支えしている。全編を通して登場人物は多くはないが、いずれも個性豊かでエッジをシャープに抉った所作、発言のバランスがよろしい。特に9歳になったばかりの妹スウィードの文学的才能に脱帽してしまう。『こんな子供おらんやろ』である。いたら会いたい。

さて、古きよきアメリカ文学も頻繁に引き合いに出されいて、通の方には楽しめる部分でもあるのではないだろうか。

結末はどのような展開を見せるか?
これこそ、読まずに死ねるか、だ。

ギボンの月の下で
レイフ エンガー Leif Enger
478971988X
登録情報
単行本: 498ページ
出版社: ソニーマガジンズ (2003/01)
ISBN-10: 478971988X
ISBN-13: 978-4789719889
発売日: 2003/01

内容紹介
全米で一番愛された物語 amazon.com 2001年度ベストブック『タイム』、『ロサンジェルス・タイムズ』各紙誌ベストセラー・ランクイン 映画化決定!!
物語はミネソタ州のある小さな町ではじまる。
ルーベン・ランドは息をせずにこの世に生を受けた。だれもが死産だとあきらめたそのとき、父ジェレイマの祈りによって奇跡が起こった。ルーベンが息を吹き返したのだ。
喘息のルーベン、不思議な力をもつ父、たくましい兄デーヴィ、文学好きの妹スウィード家族は貧しいながらもしあわせに暮らしていた。だがルーベンが11歳になった冬、家族にふりかかった最悪の事件をきっかけにデーヴィが失踪してしまった。残された家族はデーヴィを探す旅に出るが、彼らの行く先にまっているものは・・・・・。
「奇跡にふれたとき、家族になにがおこるのか」







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