『王妃の館(上下巻)』浅田次郎著 2014
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水曜日

痛快でユーモアがあって、登場人物の伏線がきちんと張られていているから、この人ならこう発言するだろうな、といちいち納得出来る。これをはぐらかされると読者は混乱してしまう。きちっと抑えるのは最低条件だろうが、それがプロの作家でしょう。

◆心に響く言葉
「・・幸福になる条件はただひとつ、自分は幸福だと信じることよ。自分を不幸だと思っているうちは、幸福なんて永遠にやってこない」

「幸福と不幸は神様がコントロールしているわけじゃないわ。人間が選んでいるわけでもない。ひとりひとりが、幸せか、不幸せかを勝手に決めているだけ」

王妃の館〈上〉 (集英社文庫)
浅田 次郎
408747707X
登録情報
単行本: 314ページ
出版社: 講談社 (2010/9/17)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4062165007
ISBN-13: 978-4062165006
発売日: 2010/9/17
王妃の館〈下〉 (集英社文庫)
浅田 次郎
4087477088
登録情報
文庫: 339ページ
出版社: 集英社 (2004/06)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4087477088
ISBN-13: 978-4087477085
発売日: 2004/06

【上巻】
商品説明
直木賞作家、浅田次郎の長編ユーモア小説である。女性誌「メイプル」の1998年5月号から2001年4月号に連載された作品を、上・下巻に収めた。
パリのヴォージュ広場で300年の伝統を誇る「王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)」は、世界中の観光客あこがれの最高級ホテル。この15室しかないホテルの知名度を利用し、倒産寸前の旅行会社が企画した起死回生策とは、「王妃の館」に滞在するパリ10日間149万8000円の超豪華「〈光(ポジ)〉ツアー」と、19万8000円の格安「〈影(ネガ)〉ツアー」を同時に催行し、ツアーの「二重売り」によって月末の手形決済を切り抜けようというもの。

しかしながら、両ツアーともに、参加者はひとクセもふたクセもある個性派ぞろいで、参加者たちが繰り広げる予想外の事態により、ツアーの二重売り計画は次々と危機にさらされ、破綻していく。トラブルの連続、突拍子もないギャグ連発のドタバタ人情劇は、エンターテイメント性たっぷりに楽しませてくれる。この現代劇の合間に、17世紀の「王妃の館」にまつわる逸話が、しっとりとした趣で織り交ぜられていく。

現代劇の最後は、できすぎのハッピーエンドというのもホッとする展開だ。いわく、「光には影がなければおかしいし、光あってこその影なのだから」と。また、ときに登場人物に語らせながら、随所に散りばめられている著者の思想や社会批判がなかなか痛烈である。これが作品全体を引き締め、重みを与えている。(加藤亜沙) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容紹介
思いっきり笑えて泣ける、人情巨編!150万円の贅沢三昧ツアーと、19万8千円の格安ツアー。対照的な二つのツアー客を、パリの超高級ホテルに同宿させる!? 倒産寸前の旅行会社が企てた、“料金二重取りツアー”のゆくえは…。

【下巻】
内容紹介
涙と笑いの人生ツアー、ついに決着へ!
愛人と別れたうえリストラされたOL。人気作家とその担当編集者。心中を目論む老夫婦。カード詐欺師の夫婦…。ルイ14世の秘話を織り込んで、親子の愛が、夫婦の愛がホロリとさせる珍道中の物語。

内容(「BOOK」データベースより)
ひと癖もふた癖もある「光」と「影」のツアーメンバーたちは、ドタバタ騒ぎとニアミスをくりかえしながらも、それぞれのパリの旅を楽しんでいた―かに思えたが、ついにツアーの二重売りがバレそうになって、さあ大変。さらに「王妃の館」に秘められた太陽王・ルイ十四世の愛の行方をからめて、物語は十七世紀と現代とを縦横無尽に駆けめぐる。思いっきり笑って泣いて、ついに感動の大団円。







(2014/05/21 22:58)


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