『珍妃の井戸』浅田次郎著 2014
5/2
金曜日

蒼穹の昴」の続編に位置する「珍妃(ちんぴ)の井戸」、少し骨休め休暇のような本書でGW向きか。(まったく根拠なしのほら吹き爺とは僕のこと) そして、この続編は「中原の虹」へと続く。

光緒帝の寵妃珍妃が紫禁城内の井戸に落とされ殺されたとされる出来事自体は悲劇ではある。この犯人探しに本書では、架空の4人の人物(英)海軍提督、(独)陸軍大佐、(露)銀行総裁、(日)帝国大学教授が登場する。そして生き証人が順番に登場し、真相を語り口調でしゃべっていくのであるが、証言内容が二転三転として、真相究明には程遠く、謎を深め、混沌の様相を呈していく。いわゆる「信頼できない語り手(※1)」という技巧・手法が使われている。

最後のどんでん返し、なるほど、だから偽証していたのか、許せぬ、な感想でしょうか。

あとは、自分の目でお読みください。(まったく書評にも何にもなっていないが、テキトーでいいのである) ただし、「蒼穹の昴」を一読し、時代背景、人間関係図、登場人物の個性が頭に入っていないと、本書をいきなり読んでも楽しめないのでご注意されたし。

(※1):信用できない語り手は、小説や映画などで物語を進める手法の一つで、語り手(ナレーター、語り部)の信頼性を著しく低いものにすることにより、読者や観客を惑わせたりミスリードしたりするものである。wikipedia参照


Wikipedia参考「中原の虹

珍妃の井戸 珍妃の井戸
浅田 次郎

講談社 1997-12-10
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登録情報
単行本: 322ページ
出版社: 講談社 (1997/12/10)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4062089335
ISBN-13: 978-4062089333
発売日: 1997/12/10
内容紹介
新直木賞作家が描く、中国歴史ミステリ-!列強の侵略にさらされる清朝末期の北京。英独日露四ヵ国の高官が、皇帝の愛妃・珍妃殺害事件の謎を追う。証言者の言い分は極端に食いちがうが、果して真相は…。

内容(「BOOK」データベースより)
列強の軍隊に制圧され、荒廃した北京。ひとりの美しい妃が紫禁城内で命を落とした。四年前の戊戌の政変に敗れ、幽閉された皇帝・光緒帝の愛妃、珍妃。事件の調査に乗り出した英・独・日・露の四人の貴族たちを待っていた「美しい罠」とは?降りしきる黄砂のなかで明らかになる、強く、悲しい愛の結末。長編歴史ミステリー・ロマン。







(2014/05/02 22:58)


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