『間宮林蔵』吉村昭著 2014
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木曜日

間宮林蔵は樺太が半島なのか、島なのか、未踏の地として、議論を醸し出していた頃(世界の探検家は半島であろうといった見解が多かった)過酷な季候、現地民族の驚異などと見えながら、測量しながら、樺太は遂に島であることを突き止めた世界で最初の人物であった。この樺太での出来事、行動が凄まじい程の迫力で迫ってくる。(私にはとても行くことはできないだろう) 地図でいえば伊能忠敬が著名であるが、彼とも友好を深め、測量技術も学び、蝦夷地方の内部まで含めた地図を完成させてもいる。その後、幕府の司令を受けて隠密活動に従事もしている。シーボルト事件の濡れ衣的な悪評もありながらも、一途に人生を生き抜く姿に、何かしら日本人のルーツのような様相をオーバーラップさせることができる。実直で、でも梅毒にも罹ってしまう遊び人の一面もある。百姓上がりながらも、逆にその生い立ちと負けん気も荷担し、彼の像が完成されていったのだろう。後に間宮海峡と名付けられた命名が不動のものとなったのは、一八八一年(明治一四年)に刊行されたフランスの地理学者エリゼ・ルクリュの「万国地誌」第六巻「アジア・ロシア」によるものであった。

新装版 間宮林蔵 (講談社文庫)
吉村 昭
4062770776
登録情報
文庫: 512ページ
出版社: 講談社; 新装版 (2011/10/14)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062770776
ISBN-13: 978-4062770774
発売日: 2011/10/14

内容紹介
謎多き探検家の波乱の生涯を描く歴史長編。樺太は島なのか、大陸の一部なのか? 世界地理上の謎だった同地を探検し島であることを確認し、間宮海峡を発見した間宮林蔵。その苦難の探検行をリアルに描く。

内容(「BOOK」データベースより)
19世紀初頭、世界地図の中で樺太は唯一謎の地域だった。樺太は島なのか、大陸の一部なのか。樺太調査に挑んだ間宮林蔵は、苛酷な探検行の末、樺太が島であることを確認する。その後、シーボルト事件に絡んで思いがけない悪評にさらされ、さらには幕府隠密として各地を巡った、知られざる栄光と不運の生涯を克明に描く。







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