『ポーツマスの旗-外相・小村寿太郎-』吉村昭著 2014
3/17
月曜日

吉村昭氏、16作品読了となった「ポーツマスの旗-外相・小村寿太郎-」。外務大臣だった小村寿三郎は日露戦争後、ロシアとのポーツマス講話会議に日本全権としてポーツマスに派遣された。日本は大国ロシアに圧勝して、敗戦国ロシアから賠償金、樺太の日本返還など、ロシアのウィッテと交渉する。しかし、強硬なロシアに賠償金も樺太奪回もままならず、大きな譲歩を日本国として決断せざるを得なかった。しかし、小村寿太郎の交渉は一歩も引かず、理路整然とした毅然とした態度であったと思われる。この気概ある、または家や服装のことにまったく固執せず、日本がどう進むべきか、日本が列強国の仲間入りを果たそうとするなかで、黄色の猿と世界でバカにされながらも、日本のあるべき姿・立ち位置を確保するために全身全霊でエネルギーを注いだ。この方の生きざまに惹かれてしまう。講話にあたりルーズベルト米国大統領、各国の諜報活動の情報が集められ、暗号電文でやりとりされた。全世界どこでも今の時代のようなに数秒後に情報が伝達され、またはリアルタイムで会話ができる時代ではなかった。1895年のことだったのだから。しかし、彼がポーツマスへ旅立つときの日本の歓迎ぶりが、講話締結後、日本は暴動の嵐となったギャップ。小村寿太郎は渡米前から既に先刻ご承知だったのだ。詳細は本書を取られんことを。

P.S.本書と司馬遼太郎著の「坂の上の雲」が日露戦争、明治時代の香りを味わうことが出来ると思う。

ポーツマスの旗 (新潮文庫)
吉村 昭
4101117144
登録情報
文庫: 372ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1983/05)
ISBN-10: 4101117144
ISBN-13: 978-4101117140
発売日: 1983/05

内容(「BOOK」データベースより)
日本の命運を賭けた日露戦争。旅順攻略、日本海海戦の勝利に沸く国民の期待を肩に、外相・小村寿太郎は全権として、ポーツマス講和会議に臨んだ。ロシア側との緊迫した駆け引きの末の劇的な講和成立。しかし、樺太北部と賠償金の放棄は国民の憤激を呼び、大暴動へと発展する―。近代日本の分水嶺・日露戦争に光をあて交渉妥結に生命を燃焼させた小村寿太郎の姿を浮き彫りにする力作。







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