『脱出』吉村昭著 2014
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金曜日

吉村昭氏、15作品読了となった「脱出」。少年の視点で、戦時中の民間人として脱出せざるを得ない状況の中で、少年がどのように考え、行動したのか、五篇が収録されていて、どれもみな秀作。このような体験をした子どもたちは、その後の人生に如何に役立つこと、卑下すること、どのベクトルに左右したのだろうか。反逆心か、懐疑心か、向上心となったのだろうか、と考えてしまう。強烈・猛烈な死とまさに数センチの距離と向かい合った、現代人からすると想像もつかない艱難辛苦の行軍みたいなものだったのだろう。戦中の事実として、しっかり受け止めることも自分の気持ちの中に沸き立ち、新しい芽吹きが生まれたように感じる。しかし、活字から読み取ることができる想像力と、事実の出来事との乖離はどうしようもないのではないだろうか。

【収録作品】
  脱出
  焔髪
  鯛の島
  他人の城
  珊瑚礁

脱出 (新潮文庫)
吉村 昭
4101117241
登録情報
文庫: 257ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1988/11/30)
ISBN-10: 4101117241
ISBN-13: 978-4101117249
発売日: 1988/11/30

内容紹介
昭和20年夏、敗戦へと雪崩れおちる日本の、辺境ともいうべき地に生きる人々の生き様を通して、〈昭和〉の転換点を見つめた作品集。

内容(「BOOK」データベースより)
昭和20年夏、敗戦へと雪崩れおちる日本の、辺境ともいうべき地に生きる人々の生き様を通し、「昭和」の転換点を見つめた作品集。突然のソ連参戦で宗谷海峡を封鎖された南樺太の一漁村の村人の、危険な脱出行を描く表題作。撃沈された沖縄からの学童疎開船・対馬丸に乗船していた一中学生の転変をたどる「他人の城」。東大寺の仏像疎開作業に従事する僧侶と囚人たちをめぐる「焔髪」など5編。







(2014/03/14 22:19)


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