『ロンドン生活はじめ! 50歳からの家づくりと仕事』井形慶子著 2013
12/18
水曜日

井形慶子さんのエッセイ『ロンドン生活はじめ! 50歳からの家づくりと仕事』を読んだ。彼女の本はたぶん4冊目となるが、今回はロンドンに買ったコンバーションフラット(※表2参照)をリフォームしていく中で、様々なハプニングがあり、どのようにしていったのか、の奮戦記といったところ。後半は日々の日記帳にツアーのこと、両親のこと、スタッフのこと、食べ物のこと、個人的に感じることなどが備忘録的に書かれている。

しかし、ロンドン市内でコンバージョンフラットを買うのに、60㎡前後でも数億円するらしい。築後、100年前後経っていることもあり、内装のリフォームが必要となる。また、投機目的に住宅をリフォームすることも多い。しかし、多種多様の移民が混沌とするイギリス、それを受け入れてきた英国の表と裏、日向と影が見え隠れしてくる。それでも古い家に住みたがる英国人気質、またそれに憧れる日本人も多い。僕もそのようなライフスタイルに憧れるし、建造物や雑貨をはじめ、使い込んだものほどに、大事にされてきたものほどに、価値があり、時代の時々に流されず、生き延びてきた貫禄があると言えるのではないか。

ここで、日本の工務店からすると「きちんと仕事をしましょう」といいたくなるくらいロンドンのリフォーム業者は雑、アバウトだそうな。その中でも信頼のおける業者にめぐり合えることも大事なこと。井形さんは、やれカーペットが、やれシャンデリアが、やれブラインドが、やれxxxxと自分の求めるアイテムを探し巡り、高飛車な店員ともやりあいながら、目的の品々を手中に収めていく。まあ、それだったらゆっくり構えて全部自分でやってしまったほうが簡単じゃないか、なんて思うけれど、法的にも税金的にも弁護士的にも各種制度・制約があり、それはそれで骨の折れることのようだ。

僕も郊外の緩やかな岡の上に、レンガ造りの家を手に入れ、自分でコツコツとリフォームをして、太陽と共に(日が昇れば起きて、日が沈めば寝る)連動した生活に憧れている。馬小屋をガレージに改造し、中にはMINIとバイクを置き、平屋の間仕切りなしの小学校の教室のような部屋に住みたい。暖房はセントラルヒーティング。その気になれば何とかなるのではないか、英語の壁? 移民の国、イギリスには英語を理解できない人がたくさんいる。その人たちだって生きている。だから、ボディーラングウェッジで如何様にもなるし、中学英語の力は十分あるわけだし。

さて、冒頭にある「コンバーションフラット」とは集合住宅のひとつのカテゴリーであるが、ウィッキペディアでは、大分類すると、表1のとおり。ここで、もうひとつ、イギリスの住宅様式の種類を分類すると、表2のとおり。

表1.集合住宅を表す言葉
出典:ウィッキペディア

表2.イギリス住宅様式
出展:ジェーシー・インターナショナル・プロパティー (JC INTERNATIONAL PROPERTY)サイト

■アパートメント (apartment)
北米で集合住宅を意味する最も普通の語。各世帯の区画を指し、建物全体を指すには「apartment building」などと言い、日本で一般に使われる「マンション」はこれに当たる。
■アパート
「アパートメント」を略した日本独特の表現。規模の小さい賃貸物件に限って使う。木造の建物には○○荘の名称を用いていることもある。
■フラット (flat)
平ら、つまり、各世帯が1つの階に限定されているもの。イギリスや英連邦諸国でアパートメントの代わりによく使われる語。各世帯の区画を指し、建物全体を指すには複数形にする。
■マンション (mansion)
英語で「大邸宅」。英語では、固有名詞として「~ Mansions」と名乗る集合住宅はあるが、一般名詞として集合住宅を意味することはなく、マンション=鉄筋造集合住宅と理解されるのは日本独特の表現。
■コンドミニアム (condominium)
「共同管理」を意味するラテン語から。分譲形式のもの。
■メゾン (maison)
フランス語で「家」「建物」。集合住宅という意味は特にない。語源は英語 mansion と同じだが、大邸宅とは限らない。
■タウンハウス (townhouse)
2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの。長屋とも言う。「『テラスハウス』と呼ばれる住宅もここに含まれる」としている。
■メゾネット (mesonette)
フランス語で「小さなmaison」。1戸の住宅を区切って賃貸する。通常、各戸が複数階にまたがる。

ロンドンの住宅は主にハウスとフラットの2種類に分かれます。ハウスは一戸建て住宅を指し、フラットはいわゆるマンションなどの集合住宅を指します。

【ハウス House】
■デタッチハウス(Detached House)
一戸建ての独立一件家。部屋数も4ベットルーム以上が多く駐車場完備。家屋・敷地共に広くゆとりがある。

■セミデタッチハウス(Semidetached House)
二軒で一戸を形成する家屋。左右対称で入り口も別。3ベットルーム以上が多く駐車場完備物件が多い。

■テラスハウス(Terraced House)
棟続きのイギリス式長屋。だいたい6軒が一棟でつながっている。ただ長屋と言っても日本のそれとはかなりイメージが異なり、家屋も広く、ガーデン付きの物件が多い。

■タウンハウス(Town House)
現代版テラスハウス。駐車スペースを考慮した設計で建てられている。

■バンガロウ(Bungalow)
一階建ての平屋で屋根裏部屋がある物件が多い。

■ミューズハウス(Mews House)
かつての馬小屋を改装した長屋住宅で都心部に多い。『コ』の字型の中庭のようなスペースと馬が通れる高さの門が特徴。

【フラット Flat】
■パーパスビルドフラット(Purpose Built Flat)
日本でいうマンション様式の集合住宅。管理人(ポーター)が住み込みで常駐している物件が多い。

■コンバーションフラット(Conversion Flat)(※注1)
ハムステッドエリアなどに多く、間取りの大きな一軒家を改装して集合住宅にしたもの。


■メゾネット(Maisonette)
外観はテラスハウスと似ている。いわゆる日本で見られるメゾネットタイプの物件と同じ方式で、表玄関のポーチにドアが隣同士で2枚ついている。1つは1階のフラット用で、もう1つは2階のフラット用。2階フラット用の玄関を開けるとすぐに階段になっている。

■スタジオフラット(Studio Flat)
いわゆるワンルームマンション。ベッドルームとリビングルームが仕切られておらず、キッチンとバスルームは別になっていることが多い。

※過去読んだエッセイ
 『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』
 『イギリス式 月収20万円の暮らし方』
 『イギリスの夫婦はなぜ手をつなぐのか』

ロンドン生活はじめ! 50歳からの家づくりと仕事 (集英社文庫 い 58-6)
井形 慶子
4087451461
登録情報
文庫: 256ページ
出版社: 集英社 (2013/12/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087451461
ISBN-13: 978-4087451467
発売日: 2013/12/13

内容紹介
30年間憧れて通い続けたイギリスに念願の家を持ち、アイデアと行動力を駆使してリフォーム開始。“自分らしい生き方"にこだわる著者が、50代からの暮らし・仕事・人生について綴るエッセイ。

内容(「BOOK」データベースより)
いよいよ、私の時間がやってきた。あこがれ続けた国で、我が家のリフォーム開始。必要なのはアイデアと実行力。ここからはじまる、あたらしい毎日。イギリスに魅せられた著者が綴る、試行錯誤の体験記。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井形/慶子
長崎県生まれ。大学在学中から、出版社でインテリア雑誌の編集に携わる。その後、世界100カ国に流通する外国人向け情報誌を創刊。28歳で独立、出版社を興し、イギリスの暮らしをテーマにした情報誌「ミスター・パートナー」を発刊し、話題となる。出版社経営のかたわら、長年興味を持っていたイギリスや住宅についてのエッセイを執筆。ザ・ナショナル・トラストブランド顧問。日本外国特派員協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)







(2013/12/18 21:04)


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