『日米開戦<上・下>』トム・クランシー著 2013
9/19
木曜日

1994年、トム・クランシーの作品。丁度、日米貿易摩擦が起こり、日米の関係が微妙になっていた時期でもある。
本作品の内容をかいつまむと、日本車の欠陥により子供とその家族が死亡したことに端を発し、世論を味方にし、米国議会が猛烈に日本へのパッシングとして貿易改革法が成立、それにより日本への経済措置を行い、日本は失業者が溢れ、経済は破綻的様相を呈し始めていた。大打撃を受けた日本を支配する影武者的存在のY氏は、財政・政治界の多数の協力者を巻き込み、米国へ殴りこみをかける。金融市場・株式への攪乱工作、航空母艦へ攻撃、潜水艦を撃沈、さらにはマリアナ諸島まで占拠する。そして、米ロが核保有を全面廃棄する中、日本は核を保有する国となっていた。両国の主義主張はかみ合うことなく、外交問題では解決できる状態ではなくなった。アメリカは、大統領、国家安全保障問題担当大統領補佐官、CIA、FBI、海軍、空軍、日本は、総理、自衛隊など総出演で話は展開する。実際に、日本がこのような無茶苦茶なことをする国家でないことは自明の理であるが、アメリカ人が読むにはスカッとさせてくれる本なのだろう。しかし、日本の文化や社会面での慣行も詳しく調査されていることは感心する。

さて、ハッピーエンドに終わりそうだった超巨編。ところが、そうは問屋が卸さない。このあたりのストーリーの捻り方はベテランならでは。"はたして、ウサーマ・ビン・ラーディンは9.11前に本書を読んでいたのだろうか?"どうなのだろうか?

1,500頁ある本書は、中だるみもあるが、読み終えた後、日本人として、これはどうなのか、疑問に思われる節もあるだろうが、僕には、平和ボケしてはいけない、平和は軍備で守られている部分も見逃せないぞ、と考えさせられた本であった。

日米開戦〈上〉 (新潮文庫)
トム クランシー Tom Clancy

日米開戦〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 1995-11
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登録情報
文庫: 766ページ
出版社: 新潮社 (1995/11)
言語 日本語
ISBN-10: 4102472010
ISBN-13: 978-4102472019
発売日: 1995/11
日米開戦〈下〉 (新潮文庫)
トム クランシー Tom Clancy

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新潮社 1995-11
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登録情報
文庫: 742ページ
出版社: 新潮社 (1995/11)
言語 日本語
ISBN-10: 4102472029
ISBN-13: 978-4102472026
発売日: 1995/11

内容(「BOOK」データベースより)
<上巻>太平様戦争中サイパンで米軍に肉親を奪われた財界の巨頭矢俣頼造は、傀儡政権をつくり実質的な独裁者となった。日本車炎上事件を契機とした米国の貿易改革法は、日本経済に大打撃を与えた。日本は合同演習にまぎれ米原潜二隻を撃沈、空母二隻を作戦不能にしてしまう。インド、中国との密約により米軍を牽制、一方ウォール街のメイン・コンピューターに侵入し、市場は大混乱となる…。

<下巻>祖国の危機に臨み、大統領の要請でホワイトハウスに入ったライアンは、不眠不休で働き続ける。矢俣の目標の一つがシベリア地下資源にあることを突きとめ、ロシアと共同で、米本土を狙う日本のミサイル基地の位置特定に成功するが…。修理中の空母はいつ出撃できるのか。占領されたマリアナ諸島奪還の秘策は。全面戦争は回避できるか。







(2013/09/19 21:04)


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