『ねじの回転 -心霊小説傑作選-』ヘンリー・ジェイムズ著 2013
6/12
日曜日

「かくのごとく、ヘンリー・ジェイムス(1843-1916)の文章の難解さは(つと)に有名だが、『ねじの回転』はその中でも堂に入った難物のひとつといってよい」と文末に訳者は後書きしている。英国の古典的、怪奇小説である。本編含め、他に4篇が収録されている。

難解かと思い、気合を入れて読み進めた。
文頭の『ねじの回転』、これは研究者がいるほど、この文章について評論されるほどの曲小説である。
感想は、主人公となる女の先生、ご都合主義、自己正当バリバリ派、自画自賛的で、”良い人なのよ私は!的”であるし、心の深読み、すべき思考の認知の歪みもあり、ストーリーといえば、辻褄も合わせ難く、全然帳尻合わず、「あれはどうなったのよ」の未解決部分もテンコ盛り、いいかげんにせいよ、・・ったくもう、の様相を呈する本である。

なんといっても1898年の作品、そう100年前。時代背景も文体も当時の匂いがプンプンと嗅ぎ取れてしまう。

しかしだよ、幽霊小説に分類されるとして、幽霊(と呼べることができればだが)がまったく怖くない、まったくもって心理的に追い込んでもくれない。
こりゃ、いかん。

【収録話】
・ねじの回転 (1989)
・古衣装の物語(ロマンス) (1868)
・幽霊貸家 (1876)
・オーエン・ウィングレイヴ (1892)
・本当の正しい事 (1899)

ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)
ヘンリー・ジェイムズ 南條 竹則
4488596010
登録情報
文庫: 375ページ
出版社: 東京創元社 (2005/4/9)
ISBN-10: 4488596010
ISBN-13: 978-4488596019
発売日: 2005/4/9

内容紹介
イギリスの片田舎の古い貴族屋敷。そこに、両親と死別してひっそり暮す幼い兄妹。二人の家庭教師として赴任してきた若い女性が、ある日見たのは、兄妹を悪の世界に引きずり込もうとする亡霊の姿だった……。典型的な怪談のシチュエーションを用いながら、精緻な心理描写と暗示に富んだ文体で人間の恐怖を活写した、“心理主義小説"の先駆者ジェイムズの代表作である。








(2013/06/16 19:42)


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