『永遠の仔〈上〉〈下〉』天童荒太著 2013
6/2
日曜日

天童荒太氏の長篇書き下ろし作品。以前、「悼む人」を読んだ事がある。さて、テーマは重いですね、ヘヴィー級。子供の頃に、母親や父親が子供に与える影響は絶大で、絶対で、子供は他に選択肢がなく、影響を受ける。いい影響も、悪い影響もフィルターなく降り注がれてしまう。
母親から、タバコの火の折檻を受け、体中にその跡を残す少年。
母親から、何度も長期間放置され、饑えと押入の中で暗闇に怯えながら育った少年。
あるとき、父親から相姦され、それを母親に訴えながら無視されて育った少女。
この三人がとある施設で出合った。

17年後、再び三人が出合う。その間にそれぞれの人生にどのようなことがあったか?出合ったことで、どのような事件が勃発したのか?

子は親を選べないという。また、前世のカルマを背負った罪から、同罪を償うためにそのような親の元に導かれたのだろうか?

子供は親に甘えていい。全幅の信頼で親から守られていい。心から何ら不安を感じることなく、親から無償の愛を全身に降り注がれ、抱きしめられて育っていい。そうであってほしい。そのように育てられた人は、多少なりとも愚劣な環境に陥ったところで、心から腐っていくことはない。心の芯・軸がぶれないからだ。騙されても、それでも人を信用することができると僕は思っている。そして、全世界の子供に、至極当然、その権利はあるはず。しかしながら、子供にはその権利を行使するには幼すぎる。やりきれないものである。

永遠の仔〈上〉
天童 荒太
4877282858
登録情報
単行本: 422ページ
出版社: 幻冬舎 (1999/02)
言語 日本語
ISBN-10: 4877282858
ISBN-13: 978-4877282851
発売日: 1999/02

商品の説明
※内容(「BOOK」データベースより)
再会は地獄への扉だった。十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、今鮮やかに蘇る―。山本周五郎賞受賞作から三年余。沈黙を破って放つ最高傑作ミステリー。
※内容(「MARC」データベースより)
霧の霊峰で一人の少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。その秘密を抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。そして過去を探ろうとする弟の動きと殺人事件の捜査によって優希の平穏な日々は終わりを告げた。

永遠の仔〈下〉
天童 荒太
4877282866
登録情報
単行本: 493ページ
出版社: 幻冬舎 (1999/02)
言語 日本語, 日本語
ISBN-10: 4877282866
ISBN-13: 978-4877282868
発売日: 1999/02

商品の説明
※内容(「BOOK」データベースより)
人は救いを求めて罪を重ねる。連続殺人、放火、母の死…。無垢なる三つの魂に下された恐るべき審判は―。「救いなき現在」の生の復活を描く圧倒的迫力の2385枚。
※内容(「MARC」データベースより)
優希は看護婦、二人の少年は弁護士と刑事になっていたが、再び悲劇が優希を襲う。連続殺人、母の死…。17年前の聖なる事件、その霧に包まれた霊峰に潜んでいた真実とは何か。無垢なる三つの魂に下された恐るべき審判は-。








(2013/06/02 20:49)


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