『日暮らし〈上〉〈下〉』宮部みゆき著 2013
5/2
木曜日

宮部みゆきさんの入門編としてbookoffで「日暮らし」上下巻200円で買ってきた。僕は思い入れが強い。特に初読本で「すげぇ」と感嘆した作家は他の作品も読んでみたい派ではあるが、それでは読む本の裾野が広がらない。そんな気持ちも作用して、食わず嫌いではなく、お気に入り作家を増やして、新刊が出るたびにワクワクする気持ちに浸りたい、そのような気持ちが強かったのだ。


宮部みゆきさんの他の小説は知らないが、本書にはギャグ的な要素もあり、ふっと吹き出す場面もあるのだが、今ひとつ、心情を抉り出す、心のうちを炙られる、感情を揺さぶる書きっぷりがないように感じた。浅田次郎氏、山本一力氏の時代小説のファンでもあるが、彼らの小説には登場人物に感情移入させられてしまって、涙がこぼれ落ちそうになるのを堪えきれないことが度々あるものだから、余計に物足りなさに包まれてしまったのかもしれない。つまり、とても楽に、客観読みができるのである。話の展開は終盤では途中に張った伏線の出来事もうまく帳尻を合わせ、すっきりさせてくれるところもあるだけに。他の作品に期待しよう。

日暮らし 上
宮部 みゆき
4062127369
登録情報
単行本: 378ページ
出版社: 講談社 (2004/12/22)
言語 日本語
ISBN-10: 4062127369
ISBN-13: 978-4062127363
発売日: 2004/12/22

◆出版社 / 著者からの内容紹介
待望の最新時代小説、たっぷり上下巻で登場。
多くの者の運命を大きく変えた女・葵が殺された。
殺したのはーー本当にあいつなのか?
ぼんくら同心・平四郎、超美形少年・弓之助が、
ついに湊屋の真実に迫る!
◆内容(「BOOK」データベースより)
本当のことなんて、どこにあるんだよ?江戸町民のまっとうな日暮らしを翻弄する、大店の「お家の事情」。ぼんくら同心・井筒平四郎と、超美形少年・弓之助が、「封印された因縁」を、いよいよ解きほぐす。

日暮らし 下
宮部 みゆき
4062127377
登録情報
文庫: 296ページ
出版社: 講談社 (2008/11/14)
言語 日本語
ISBN-10: 4062762056
ISBN-13: 978-4062762052
発売日: 2008/11/14

◆出版社 / 著者からの内容紹介
進化する宮部みゆきが描く、感動の結末!
すべてを闇に葬り去られるのか。
「湊屋の人々の数奇な運命と、人間の業の深さを前に、
懊悩しつつも謎に迫る平四郎と弓之助。
本当に真実のこと」がついに現れる! --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
◆内容(「BOOK」データベースより)
「ねぇ叔父上、ここはひとつ、白紙に戻してみてはいかがでしょう」。元鉄瓶長屋差配人の久兵衛からもたらされた築地の大店。湊屋が長い間抱えてきた「ある事情」。葵を殺した本当の下手人は誰なのか。過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、弓之助の推理が冴える。進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。

時代小説として下町の同心、岡っ引き、大棚の主、料理人、子供と芋洗坂での殺人事件を中心にコトが流れていく。特に弓之助が凄いガキなのだ。






(2013/05/02 20:30)


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