『エンディミオン〈上〉〈下〉』ダン・シモンズ著 2013
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木曜日

これもハイペリオンから続く四部作の第三部作だ。上下巻で1,000ページを越える。四部作(文庫本にして8冊)の幅を測ってみると21.5cmとなる。

どんなお話かというと、追われる側と追いかける側、追われる側は別に追っかけてくれ、と頼んだわけではないのだが、話の展開上、そうしておかないとハプニングは起きないし、おもしろさも、怖さも萎えてしまう。

対比的には善と悪の構図に対極化したいところだが、その悪役側がだんだんと善役になってきたりするんだ。わかるわかるその気持ちと肩入れしたくなってきた。そして、途中から比類なき冷酷なサイボーグ女と、これまたターミネータを更に全身を棘と刃だらけにした第一部作から登場しているシュライクとの抗戦、一騎打ちが見(読み)応えたっぷり。今回はシュライクが善役にみえるから不思議。


この未来では、転移ネットワーク(ワープ、どこでもドアみたいなもの)で惑星間を瞬時に移動できる手段が残っていたのだが(何故、残っているかはハイペリオンから読んで頂戴)、その残置された転移ゲートがテテュス川に架かっていて、そのゲートを通過すると、別な惑星のテテュス側に転移する。つまり、テテュス川を下りながら惑星旅行ができるってわけだ。数世紀前はそうだったが、今は朽ち果てていて、そのゲートを探しながら、ある目的のために、ゴールを目指していく。このゲートを巡りながら、追われる側、追う側が入り乱れ(あまり乱れませんが)ストーリーは起伏を繰り返す。灼熱、乾燥、超酷寒、壮大、痛快、激痛、ファンタジー、宇宙旅行、小さな恋心、などなど、追っかけごっこで、超然と話を紡ぎ出す、ダン・シモンズというおっさんはすごい。


◆四部作
第一部作:「ハイペリオン」
第二部作:「ハイペリオンの没落」


エンディミオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ダン シモンズ Dan Simmons
4150113890
登録情報
文庫: 511ページ
出版社: 早川書房 (2002/02)
ISBN-10: 4150113890
ISBN-13: 978-4150113896

内容(「BOOK」データベースより)
連邦の崩壊から三百年あまり、人類はカトリック教会、パクスの神権政治のもとに統べられていた。惑星ハイペリオンの狩猟ガイド、青年エンディミオンはパクス法廷により冤罪で処刑される直前、一人の老人に命を救われた。なんと老人はかつてのハイペリオン巡礼者、詩人サイリーナスだった!老人は、まもなく開く“時間の墓標”から現われる救世主を守ってほしいと彼に依頼してくるが…傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

シモンズ,ダン
1948年生まれ。教鞭をとりながら創作をはじめ、トワイライト・ゾーン誌のコンテストで一席に入選した短篇「黄泉の川が逆流する」でデビュー。処女長篇『カーリーの歌』(1985)で世界幻想文学大賞を受賞、その後も精力的に作品を発表しつづけている。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作『ハイペリオン』(1989)、英国SF協会賞・ローカス賞受賞作『ハイペリオンの没落』(1990)、『エンディミオン』(1996)、ローカス賞受賞作『エンディミオンの覚醒』(1997)は、四部作をなしており、1990年代を代表するSFとして読者の圧倒的な支持を獲得した

酒井/昭伸
1956年生、1980年早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

エンディミオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
ダン シモンズ Dan Simmons
4150113904
登録情報
文庫: 541ページ
出版社: 早川書房 (2002/02)
ISBN-10: 4150113904
ISBN-13: 978-4150113902

内容(「BOOK」データベースより)
“時間の墓標”から現われる救世主の名はアイネイアー、12歳の少女だという。彼女こそサイリーナス老人のかつての巡礼仲間、女探偵レイミアの一人娘なのだ。だがその頃“時間の墓標”には教会の支配を脅かす存在となりうるアイネイアーを捕らえんと、パクスの大軍が集結しつつあった!老人から託されたホーキング絨毯を駆り、エンディミオンは旅立つ。少女アイネイアーをパクスの魔手から救いだし、守りぬくために…。










(2013/02/14 21:01)


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