『海賊とよばれた男』<上巻/下巻>百田尚樹著 2013
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土曜日

この本をシャープに語ると、上下巻で750頁あるが、
 ◆一切、睡魔に襲われることのない希有な本。
 ◆始発から終点までぶち抜き超特急な本。
 ◆ダイナマイト百本の喫驚で青天霹靂な本。
 ◆前代未聞で未曾有で破天荒な本。


確かに、痛快。
感動に腰が振動。(何故、腰が?)

この本に登場する主人公、「国岡鐵造」とは、「出光石油」の創業者「出光 佐三(いでみつ さぞう、1885.8.22?1981.3.7)」を指す。彼を元に多少の脚色を加えられてはいるのだろうが、ノンフィクションとして小説風に仕上げられている。石油業界が戦前・戦後アメリカやイギリス、石油メジャーの利権と搾取、また国内石油会社も大手メジャーに半ば経営的には首根っこを押さえられたも同然だった。

その中で、日本人のみの民族的企業「国岡商店」は官僚や銀行からの天下りもさせなかった。社員は他社の2倍も3倍も猛烈に働いた。つまり異端児扱いされたわけだ。それが故、出る釘は打たれて打たれて、打ち抜かれた。しかし、国岡哲蔵は七転び八起き、それ以上の痛快劇を演じてしまう。国岡哲蔵は自分の商売より、日本の将来を考え、儲けることより庶民の生活を第一に考えた。日本の官僚や銀行も彼を信頼し熱く支援する人物もある一方、お役所的な対応、護送船団方式、自社の利益にしか目を配らない官僚や石油協会の腹黒い人物もいる。国岡哲蔵は、度重なるパッシングにも怯むことなく、正義を貫き通した。
「正しいことをしているのだから、何も屈することはない」と。

戦後、国岡商店は全ての資産を失ったが、
・社員を誰一人、馘首なし
・出勤簿なし
・労働組合なし
・定年なし
とまあ、信じられないような会社だが、それは店主が全社員は僕の家族だと公然と扱った。
日本人の日本人たる誇りを国内に、そして世界にその存在を知らしめた人物だった。
彼を信頼し、家や土地を売って支えた日田氏の登場も胸を打たれる。
そして最初の妻、ユキも支えながらも子供の出来ぬ自分では跡取りが出来ぬと愛しながらも去っていった。
イギリスの脅しを受けながら、イラクからタンカー日彰丸を運ぶ緊張感。
いろいろなエピソードが事実を元に書かれている。
感傷的になると目頭が何度も熱くなる。

そんな出光の歴史さえ知らなかった。
カードは出光石油に切り替えることにする。

海賊とよばれた男 上
海賊とよばれた男 上 百田 尚樹

講談社 2012-07-12
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登録情報
単行本: 386ページ
出版社: 講談社 (2012/7/12)
言語 日本語
ISBN-10: 4062175649
ISBN-13: 978-4062175647
発売日: 2012/7/12

内容紹介
「歴史経済小説の最高傑作!」(西川善文・元三井住友銀行頭取」、「『宮本武蔵』、『竜馬がゆく』・・・・・・青春歴史小説の新たな”古典”」(末國善己・文芸評論家)--発売以来、激賞の声が止まない、百田尚樹氏の書き下ろし長編。物語は、敗戦の日から始まる。

「ならん、ひとりの馘首もならん!」--異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、戦争でなにもかもを失い残ったのは借金のみ。そのうえ大手石油会社から排斥され売る油もない。しかし国岡商店は社員ひとりたりとも解雇せず、旧海軍の残油浚いなどで糊口をしのぎながら、逞しく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは--出光興産の創業者・出光佐三をモデルにしたノンフィクション・ノベル、『永遠の0』の作者・百田尚樹氏畢生の大作その前編。

【著者コメント】
二年前のある日、テレビ関係の友人と雑談している時、「日章丸事件って知ってる?」と訊かれました。知らないと答える私に、彼女が概要を説明してくれたのですが、それは俄かには信じられない事件でした。いまだ戦争の痛手から立ち直れないでいた昭和28年、「七人の魔女」と呼ばれる強大な力を持つ国際石油メジャーと大英帝国を敵に回して、堂々と渡り合い、世界をあっと言わせた「日章丸」というタンカーがあったというのです。
興味を抱いた私は早速調べてみましたが、事件の全貌を知るにつれ、驚愕すると同時に震えが止まらなくなりました。そこには現代の日本人が忘れかけている「勇気」「誇り」「闘志」そして「義」の心を持った男たちの姿があったからです。しかしそれ以上に私を驚かせたことがありました。それは、そんな男たちを率いた一人の気骨ある経営者の人生です。その九十五年の生涯はまさしく凄絶としか言いようのないものでした。
――なんという凄い男がいたんや!
私は「この男を書きたい!」と心から思いました。いや――書かねばならない!この素晴らしい男を一人でも多くの日本人に知ってもらいたい!それが作家としての使命だ。
気が付けば、取り憑かれたようにワープロに向かっていました。小説家になって六年、執筆しながらこれほどの充実感を覚えたことはありません。
この作品は「小説」という形を取っていますが、登場人物はすべて実在しました。そしてここに描かれた出来事は本当にあったことです。この奇跡のような英雄たちの物語が、一人でも多くの日本人に届くことを心から願っています。

海賊とよばれた男 下
海賊とよばれた男 下 百田 尚樹

講談社 2012-07-12
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登録情報
単行本: 370ページ
出版社: 講談社 (2012/7/12)
言語 日本語
ISBN-10: 4062175657
ISBN-13: 978-4062175654

内容紹介
敵は七人の魔女(セブン・シスターズ)、待ち構えるのは英国海軍。敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは、巨大国際石油資本「メジャー」たちだった。日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。一方、世界一の埋蔵量を誇る油田をメジャーのひとつアングロ・イラニアン社(現BP)に支配されていたイランは、国有化を宣言したため、国際的に孤立し、経済封鎖で追いつめられる。イギリスはペルシャ湾に軍艦を派遣。両国の緊張が走る一触即発の海域に向けて、一隻の日本のタンカー「日章丸」が極秘裏に神戸港から出港した――。世界を驚倒させた「日章丸事件」に材をとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。「この作品は『小説』という形をとっていますが、登場人物はすべて実在しました。そしてここに描かれた出来事は本当にあったことです。この奇跡のような英雄たちの物語が、一人でも多くの日本人に届くことを心から願っています」(百田尚樹)














(2013/01/26 18:26)


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