『天切り松 闇がたり 4 昭和侠盗伝』浅田次郎著 2012
9/1
土曜日

以前、bookoffで100円で買った本。
浅田次郎、上手いね、この作家は。

いえねっ、それほど期待せずに読んだんですがね、おっといけねぇ、時間も忘れて読み耽ってしまうほどの快絶・愉絶ときたもんでさァ。何せ、居住まいを正せられ、背骨をシャキッとさせちまうところなんざぁ、お天道さまに顔向けできない、盗人家業でありながら、こそ泥ではない、政界人・庶民からも尊敬を集めてしまう親分と、その弟子たちの繰り広げるお話にゃ、爽快で人情ホロリでやしてね、こんな了簡の人達がいるのかねぇ、って思っちまうくらいに、まっすぐで、理にかなった生きざまなんでさぁ。いや、卑屈でないんでさぁ、お天道さまにまっすぐに向き合ったスリ家業、いけねぇ、筋が合わないって、おっしゃりてぇんでしょうや。

全編、江戸弁、べらんめぇ調で語られる、東郷平八郎が名付け親となった「天切り松」。何故、そう讃えられるは、読んでご覧なせぇ。こりゃ、第一巻から、順序立てて読まねぇと、畳の上じゃ、死ねねぇな、ってきたもんだ。



天切り松 闇がたり 4 昭和侠盗伝
浅田 次郎
4087747425

単行本: 288ページ
出版社: 集英社 (2005/5/26)
言語 日本語
ISBN-10: 4087747425
ISBN-13: 978-4087747423
発売日: 2005/5/26

出版社 / 著者からの内容紹介
戦争の影さす時代、情に生きた夜盗たちの活躍!
時は昭和9年、戦争への道をひた走る日本。世の中自体がおかしくなりつつある時に、「人としてのまっとうな生き方」を体現した伝説の夜盗たちの痛快ピカレスクロマン! 全6編収録。

内容(「BOOK」データベースより)
どんなやぶれかぶれな世の中だって人間は畳の上で死ぬもんだ。時は昭和。戦争という「巨悪」を仕掛ける「お上」に江戸の矜持を持ち続ける夜盗一味が立ち上る。



(2012/09/01 7:15)

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