『奇術師の密室』リチャード・マシスン著 2012
8/12
日曜日

リチャード・マシスンの読破計画進行中の6冊目。1994年の作品。
後半部分をフェリーで読んだ。
他に何もすることがない、できないときほど、本は便利なものはない。
灯りと、老眼を補強する眼鏡さえあればいいのだし。

本書のタイトル”・・・密室”は、如何にもトリックが、殺人が、ミステリーが起こりそう、起こらないわけがない、何せマジシャンを据えたお話だし、すぱっと人間ごと消し去るなんざ、朝飯前を職業にしている奇術師なのだから。


話はどんでんどんでん、どんでん返しはあるが、僕は前半の、この本書のナレーター(語り手)役である初代奇術師、エミール・デコラートの語り部の五臓六腑をハイスピードに捩れさせてしまう、その絶妙な合いの手、切り返し、おかしさに脱帽してしまった。この語り部のお父さんは、植物人間であって、見て考えることは出来るが、口も身体も一切動かない。まさに切り株状態である。そのもどかしさ、ったらないので、是非、お勧めしたいし、気軽に時間つぶしができるでしょう。

後半は、種明かしをしながら、あれ、あれ、まだ捻りますか、もういいんじゃないですか、などと、どんでん返しは少し辟易してしまうのだが。まあ、いいでしょう。

奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)
リチャード マシスン Richard Matheson
4594051979
登録情報

* 文庫: 351ページ
* 出版社: 扶桑社 (2006/07)
* ISBN-10: 4594051979
* ISBN-13: 978-4594051976
* 発売日: 2006/07

内容(「BOOK」データベースより)
往年の名奇術師も、脱出マジックに失敗し、いまは身動きできずに、小道具満載の部屋の車椅子のうえ。屋敷に住むのは、2代目として活躍する息子と、その野心的な妻、そして妻の弟。ある日、腹にいち物秘めたマネージャーが訪ねてきたとき、ショッキングな密室劇の幕が開く!老奇術師の眼のまえで展開する、奇妙にして華麗、空前絶後のだまし合い。息も継がせぬどんでん返しの連続。さて、その結末やいかに―鬼才マシスンが贈る、ミステリーの楽しさあふれる殺人悲喜劇。










(2012/08/12 12:24)


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