非競争領域のデータは買って済ませる(2) 2012
4/12
木曜日

シリーズブログ。

野村総合研究所の鈴木良介氏の著書『ビッグデータビジネスの時代』から、なるほどと感銘した部分をピックアップしてみたい。あくまで、本内容は以下の著書からであり、著者に敬意を表し、興味のある方は本書を手にとってご覧いただけますよう。

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
鈴木 良介
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内容紹介
「ビッグデータビジネス」は、産業界全般で進むクラウド利用と併せて、2010年代の情報・通信分野における注力すべきテーマの1つになることが予想されています。
本書では、海外を中心とした「ビッグデータ」の活用企業および、活用を支援しようとするIT事業者の最新動向や戦略、ビッグデータビジネスを検討する視点を詳細に解説します。
また、Hadoop、DWH、CEPなどのビッグデータ活用を支える技術やその周辺技術の動向を紹介するとともに、ビッグデータ活用のための課題や利用サイド事業者/支援サイド事業者双方における今後のビッグデータビジネスの将来像などについて広範に解説します。

・ビッグデータビジネスとは何か?
・ビッグデータビジネスの効用と活用事例
・主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術
・ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因
・ビッグデータビジネスの将来予測

内容(「BOOK」データベースより)
国内&海外のビッグデータ活用事例、Hadoop/DWH/CEPなどビッグデータ活用を支える技術の解説から主要IT事業者の戦略と商材、将来予測までビッグデータビジネスを徹底網羅。ビッグデータビジネスとクラウド以降のIT潮流を掴むための最適な1冊。

前回の続き。
HaaS/SaaSの急速な利用進展の先に、DaaS、すなわちデータがサービスとして有償提供されるような世界が来る可能性は大いになる。「事業遂行のために必要なデータ」はさまざまなレベルで存在し、すべてのデータを外部事業者に依存することはもちろんできない。しかし、「うちの社員が汗をかく甲斐のない非競争的な情報は、どこから買ってくる」という発想は合理的なはずだ。たとえば、公開事業者の財務情報は、ウェブサイトで確認することが容易な「非競争データ」であるし、□□社情報システム部の部長の趣味が鉄道写真の撮影であることは、営業マンが足で稼ぐべき「競走的データ」という棲み分けが進むかもしれない。「予審情報」のように既に外部から調達してくることが定着している事例もある。ある程度の時間と実績を重ねれば、外部からデータを買ってくる、ということに対する抵抗感は時間をかけて解消すると期待される。

  

もうひとつ想像を重ねたい。身近な例で、飲食店で出される「おしぼり」に関するデータについて考えてみる。おしぼり事業者はレンタル事業者に限っても国内に数百社程度あり、日々大量のお絞りをレンタルしている。当然にして、彼らは日々の営業に付随して、「レストランAは木曜日には150本納入する」といったデータを保有している。さらに言えば、金曜日はその数が倍増するということや、昨年に比べて3割増えた、などといったデータも保有しうるだろう。このデータはおしぼり事業者としてみれば、顧客管理データの一部にすぎず、場合によっては、直近のデータを帳面につけておく以外は廃棄してしまっているかもしれない。

しかし、仮にこのデータをグルメサイトのデータ分析担当者が入手できたらどうなるだろうか。単純な効用として、曜日別のかなり正確な客の入店状況に関するデータを入手することができる。回転数や混雑具合の予測にも役立つだろう。

さらに、そのグルメサイトがそもそも保有していたデータ、たとえばそのレストランの紹介ページへアクセス数や、コメント数、クーポンダウンロード数などと連動させることによって、「おしぼり納入データ」が入手できない店舗についても実際の顧客入店状況を予測するアルゴリズムを導出することも考えられるだろう。

   


次回は、未定。







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