銃・病原菌・鉄(上)(下)-1万3000年にわたる人類史の謎- 2012
4/10
火曜日

最近は読書量がガクンと落ちてはいるが、電車通勤の行き帰りに気が向けば読んでいた。
随分、ゆっくりと読んだが、本書はお勧めして間違いはないだろう。

著者は本書のテーマをこのように述べている。
『なぜ、人類社会の歴史は、それぞれの大陸によってかくも異なる経路をたどって発展したのだろうか?人類社会の歴史の各大陸ごとの異なる発展こそ、人類史を大きく特徴づけるものであり、本書のテーマはそれを解することにある。』

どうですか?
僕は、2000-2009年の読者が選んだ第一位ということで、間違いはないだろうと購入した。
先進国と発展途上国の括りで、得てして先進国は途上国を見下していたりはしないだろうか?
本書を読めば、そのことが実はそうだったのか、知らなかった、メカラウロコとなるのである。

さぁ、今すぐ、本書を注文しよう。読まずには死ねませんよ。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰
4794218788
文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰
4794218796
317ページ 432ページ

なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。ピュリッツァー賞受賞作。識者が選ぶ朝日新聞“ゼロ年代の50冊”(2000年から2009年の10年間に刊行された本)堂々の第1位

銃と軍馬―― 16世紀にピサロ率いる168人のスペイン部隊が4万人に守られるインカ皇帝を戦闘の末に捕虜にできたのは、これらのためであった事実は知られている。なぜ、アメリカ先住民は銃という武器を発明できなかったのか?彼らが劣っていたからか?ならば、2つの人種の故郷が反対であったなら、アメリカ大陸からユーラシア大陸への侵攻というかたちになったのだろうか?
否、と著者は言う。そして、その理由を98年度ピューリッツァー賞に輝いた本書で、最後の氷河期が終わった1万3000年前からの人類史をひもときながら説明する。はるか昔、同じような条件でスタートしたはずの人間が、今では一部の人種が圧倒的優位を誇っているのはなぜか。著者の答えは、地形や動植物相を含めた「環境」だ。
たとえば、密林で狩猟・採集生活をしている人々は、そこで生きるための豊かな知恵をもっている。だが、これは外の世界では通用しない。他文明を征服できるような技術が発達する条件は定住生活にあるのだ。植物栽培や家畜の飼育で人口は増加し、余剰生産物が生まれる。その結果、役人や軍人、技術者といった専門職が発生し、情報を伝達するための文字も発達していく。つまり、ユーラシア大陸は栽培可能な植物、家畜化できる動物にもともと恵まれ、さらに、地形的にも、他文明の技術を取り入れて利用できる交易路も確保されていたというわけだ。また、家畜と接することで動物がもたらす伝染病に対する免疫力も発達していた。南北アメリカ、オーストラリア、アフリカと決定的に違っていたのは、まさにこれらの要因だった。本書のタイトルは、ヨーロッパ人が他民族と接触したときに「武器」になったものを表している。
著者は進化生物学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授。ニューギニアを中心とする長年のフィールドワークでも知られている。地球上で人間の進む道がかくも異なったのはなぜか、という壮大な謎を、生物学、言語学などの豊富な知識を駆使して説き明かす本書には、ただただ圧倒される。(小林千枝子)











(2012/04/10 21:32)


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