非競争領域のデータは買って済ませる(1) 2012
4/5
木曜日

シリーズブログ。

野村総合研究所の鈴木良介氏の著書『ビッグデータビジネスの時代』から、なるほどと感銘した部分をピックアップしてみたい。あくまで、本内容は以下の著書からであり、著者に敬意を表し、興味のある方は本書を手にとってご覧いただけますよう。

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
鈴木 良介
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内容紹介
「ビッグデータビジネス」は、産業界全般で進むクラウド利用と併せて、2010年代の情報・通信分野における注力すべきテーマの1つになることが予想されています。
本書では、海外を中心とした「ビッグデータ」の活用企業および、活用を支援しようとするIT事業者の最新動向や戦略、ビッグデータビジネスを検討する視点を詳細に解説します。
また、Hadoop、DWH、CEPなどのビッグデータ活用を支える技術やその周辺技術の動向を紹介するとともに、ビッグデータ活用のための課題や利用サイド事業者/支援サイド事業者双方における今後のビッグデータビジネスの将来像などについて広範に解説します。

・ビッグデータビジネスとは何か?
・ビッグデータビジネスの効用と活用事例
・主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術
・ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因
・ビッグデータビジネスの将来予測

内容(「BOOK」データベースより)
国内&海外のビッグデータ活用事例、Hadoop/DWH/CEPなどビッグデータ活用を支える技術の解説から主要IT事業者の戦略と商材、将来予測までビッグデータビジネスを徹底網羅。ビッグデータビジネスとクラウド以降のIT潮流を掴むための最適な1冊。

前回の「事業者保有データの活用と流通の促進・流通と「第3の壁」の顕著化」から具体的方法のその一つに「非競争領域のデータは買って済ませる」の要約を本書から。

「個人情報や営業機密を外部事業者に預けてしまう、SaaSもHaaSもナンセンス」という時代があった。しかし、この数年間で状況は大きく変わった。いまや従来の抵抗感とは隔世の感があるほどに、外部のクラウドサービス活用が進んだ事業者もあるだろう。このように外部事業者が提供する一般的なサービスで代替することが可能な領域が増えることによって、利用者サイド事業者は「自社が強みを発揮できる領域(競争領域)に注力し、非競争領域については外部のサービスを利用する」ことが可能となった。

現行のクラウドサービスで提供されているようなHaaS(計算資源等のサービス利用)やSaaS(ソフトウェアのサービス利用)以外に、『非競争領域』はないのだろうか?

たとえば、顧客管理ソフト(CRM)に関していえば、本来一番工数がかかるのは、システムを入れるためのハードウェアという器を用意することでも、データを入れるためのソフトウェアという器を用意することでもなく、CRMシステムに入れるべきデータを営業マンが取得してくる工程にこそ最も工数、すなわち時間と費用がかかっているはずだ。

そうであるならば、SaaS/HaaSに留まらぬサービスとして、次に示すDaaS(Data as a Servise)とでも言うべき機能の想像はできないだろうか?

「SaaSで提供されているCRM機能に、明日の営業予定を記録していたところ、急にポップアップウィンドウが出てきた。『今日あなたが訪問する顧客の近くには□□社があります。あなたの商材○○は□□社の総務に訴求するかもしれません。コンタクト情報を入手しますか?(YES/NO)と表示されている。YESをクリックすると、□□社の総務担当者への面会希望を依頼するフォームが出てきた」。

当然にして、「□□社の総務」に関するデータをどのようにして取得し、このサービスで用いることへの許諾をもらうか、□□社に対するメリットは何か、といった点の作り込みが必要となる。たとえば、公開情報・SNSサイト、雑誌記事などのオープンになっているデータを元にデータを構築することも考えられるだろう。また、もっと直接的に「□□社の総務」から、「いま関心のある商材」を申請してもらい、外部事業者からの提案を許諾してもらう、という方法もあるだろう。この場合は、□□社に対して、なにがしかの
経済的な便益を与えることが求められるが、上の「ポップアップウィンドウ」内で、コンタクト情報を取得する際、CRMサービスの利用者がいくばくかのお金を支払ってもよいだろう。

次回は、この続きから。







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