『社会リズム療法』(6)-社会リズムの変化を予防する- 2012
3/25
日曜日

数回に渡り、「社会リズム」をピックアップしている。
本内容は、以下の著書からの要約であり、リワークプログラムの中でも教わった内容となる。
きちんと確認したい方は、本書を手に取ることをお勧めする。

対人関係療法でなおす 双極性障害
水島広子
4422114638

内容紹介
《対人関係療法でなおすシリーズ》の3冊目。「双極性障害」(=「躁うつ病」)とは、気分の高揚とうつ状態とが繰り返し訪れる病気である。単極性のうつ病と誤診されたためにうつがなかなか治らなかったり、病気ではなく性格の問題だとされて、きちんとした治療を受けられずに何年も過ごしている患者さんも多い。また、きちんと診断されても、これまでは薬物療法しか有効な治療法がなかった。本書では、「対人関係」と「社会リズム」という、この病気を発症させる二つの大きな要因に焦点を当てて、薬物療法以外に、自分自身でコントロール可能な方法を日本で初めて紹介する。

<目次>
はじめに
第I部 双極性障害を患うということ  
第1章 双極性障害という病  
第2章 双極性障害と社会リズム
第II部 対人関係・社会リズム療法(IPSRT)の進め方  
第3章 対人関係・社会リズム療法とは  
第4章 社会リズム療法  第5章 対人関係療法  
第6章 双極性障害対策チームを作る
本書の内容の理解を深めるための参考文献
あとがき


「社会リズム」シリーズの第六回目は「-社会リズムの変化を予防する-」の要約となる。

何らかの「変化」が予想される場合は、それが社会リズムにどのような影響を与えるか、さまざまな要因について考えててみよう。

新しい仕事に就くのであれば、

 労働時間
 出張の多さ
 通勤時間
 責任の重さと範囲
 ストレス
 勉強しなければいけないことの量やその期限

など、検討が必要な項目は多岐にわたると思われる。社会リズムの安定を崩さずに済むようにできるだけの準備をしよう。社会リズムの安定ということは、時間的なことだけではなく、刺激の強さも重要な因子となるため、退屈しすぎたり刺激が強すぎたりしないように計画する。

出張や旅行の場合には、移動時間が通常の睡眠時間を脅かさないように時間をやりくりし、健康な人なら日帰り出張するようなところでも、敢えて一泊するということも必要になるかもしれない。また、睡眠時間は大切であるから、一人でぐっすり眠れる部屋を持てるように周囲の人に協力を要請しよう。

もちろん変化は全てが予測可能なわけではない。離婚、失業など、予測できない変化の場合、特にネガティブな性質のものであれば、とても社会リズムになど気をつけていられない、という気持ちになるのは十分理解できる。しかし、そんなときこそ、社会リズムを規則的に維持して自分を守る必要がある。ただでさえ心の傷を受け、自分を立て直さなければならない時期であるのであるから、そのうえ社会リズムの乱れで心身に余計な負担をかけるのは止めなければならない。社会リズムの乱れがエピソードの再発につながるなど、さらなるダメージが待っているのである。


なお、社会リズムの乱れに見えるものが、実は新たなエピソードの初期兆候である場合もある。そういう場合でも、社会リズムを規則正しくすることは役立つ。社会リズムを規則正しくすることもその治療効果があるからである。せめて睡眠時間は何としても守ろう。新しいエピソードを予防できるかもしれないし、予防し切れなくても、経過を改善することはできるだろう


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(2012/03/25 7:42)


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