なぜ支援サイド事業者は、ビッグデータビジネスに乗り出したのか? 2012
3/19
月曜日

「ビッグデータ」シリーズの5回目。

野村総合研究所の鈴木良介氏の著書『ビッグデータビジネスの時代』から、なるほどと感銘した部分をピックアップしてみたい。あくまで、本内容は以下の著書からであり、興味のある方は本書を手にとってご覧いただけますよう。

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
鈴木 良介
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内容紹介
「ビッグデータビジネス」は、産業界全般で進むクラウド利用と併せて、2010年代の情報・通信分野における注力すべきテーマの1つになることが予想されています。
本書では、海外を中心とした「ビッグデータ」の活用企業および、活用を支援しようとするIT事業者の最新動向や戦略、ビッグデータビジネスを検討する視点を詳細に解説します。
また、Hadoop、DWH、CEPなどのビッグデータ活用を支える技術やその周辺技術の動向を紹介するとともに、ビッグデータ活用のための課題や利用サイド事業者/支援サイド事業者双方における今後のビッグデータビジネスの将来像などについて広範に解説します。

・ビッグデータビジネスとは何か?
・ビッグデータビジネスの効用と活用事例
・主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術
・ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因
・ビッグデータビジネスの将来予測

内容(「BOOK」データベースより)
国内&海外のビッグデータ活用事例、Hadoop/DWH/CEPなどビッグデータ活用を支える技術の解説から主要IT事業者の戦略と商材、将来予測までビッグデータビジネスを徹底網羅。ビッグデータビジネスとクラウド以降のIT潮流を掴むための最適な1冊。

支援事象者サイドでありシステムインテグレータである私の会社の、私の担当がまさに直面している火急の懸念・喫緊の課題であり、本書は確信をずばり言い当てている。

では著書からピックアップしよう。

ビッグデータの蓄積・分析を行うためのハードウェア・ソフトウェアの開発事業者や、サービスの提供を行う支援サイド事業者も、ビッグデータビジネスへの注力を進めている。支援サイド事業者としては、ITベンダ、システムインテグレータ、通信事業者などの情報システム開発に関連する事業者が挙げられる。

高解像・高頻度・多様なデータから知見導出を目的とした商材群への注力は、2009年前後より強化されてきた。そして、2011年初頭以降、「ビッグデータ対応」を全面に示した訴求が著しい。

ビッグデータ活用支援を行に際し、ベンダやシステムインテグレータなどの支援サイド事業者は、高解像・高頻度・多様性への技術的な対応はもちろん、利用サイド事業者の業務に対するより深い理解と踏み込みが求められる。

たとえば、利用サイド事業者において、死蔵・垂れ流しをされているビッグデータの可能性について、その効用への気付きを与えることも重要な業務となるためだ。これらの事業者の多くにとって、取り扱うデータの中身まで、深く踏み込んだ理解が求められるビッグデータビジネスに関与することは容易ではない。なぜならこれまでの業務とはまったく違う行動規範を求められることになるからだ。

先日のブログで、利用サイド事業者における「第1の壁」(電子化・自動化の壁)と「第2の壁」(知見導出の壁)について紹介した。現在、利用サイド事業者が求められていることは当然にして、「第2の壁を越えること」に対しての支援である。しかし、同じ「IT活用」の文脈で語られつつも、2つの壁を越えるために求められる行動規範は大きく異なる

「第1の壁(電子化・自動化の壁)」と「第2の壁(知見導出の壁)」にIT活用の商店が変化する中で、行動規範は「ちゃんとやったか」から「(ちゃんとやるだけでなく)事業に寄与する結果が得られたのか」に変化している。

知見導出の支援においては、従来の電子化・自動化支援における業務のように、仕様の策定とその確実な実行だけでは、何の付加価値も生まない。

たとえば「~というクロス集計を200通り実施します」では顧客の期待には応えられないのである。このような変化が不可避であるがゆえに、支援サイド事業者とすれば、これまでに培った職業上の行動規範を大きく変えざるを得ない場面が増えるだろう。

そのような困難があるにも関わらず、なぜこのタイミングにおいて、支援サイド事業者は、ビッグデータビジネスへの取組みを進めざるを得ないのか?


この理由については次回に触れよう。






(2012/03/19 10:16)


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