『社会リズム療法』-社会リズムを安定させる-(4) 2012
3/13
火曜日

数回に渡り、「社会リズム」をピックアップしていこう。
本内容は、以下の著書からの要約であり、リワークプログラムの中でも教わった内容となる。
きちんと確認したい方は、本書を手に取ることをお勧めする。

対人関係療法でなおす 双極性障害
水島広子
4422114638

内容紹介
《対人関係療法でなおすシリーズ》の3冊目。「双極性障害」(=「躁うつ病」)とは、気分の高揚とうつ状態とが繰り返し訪れる病気である。単極性のうつ病と誤診されたためにうつがなかなか治らなかったり、病気ではなく性格の問題だとされて、きちんとした治療を受けられずに何年も過ごしている患者さんも多い。また、きちんと診断されても、これまでは薬物療法しか有効な治療法がなかった。本書では、「対人関係」と「社会リズム」という、この病気を発症させる二つの大きな要因に焦点を当てて、薬物療法以外に、自分自身でコントロール可能な方法を日本で初めて紹介する。

<目次>
はじめに
第I部 双極性障害を患うということ  
第1章 双極性障害という病  
第2章 双極性障害と社会リズム
第II部 対人関係・社会リズム療法(IPSRT)の進め方  
第3章 対人関係・社会リズム療法とは  
第4章 社会リズム療法  第5章 対人関係療法  
第6章 双極性障害対策チームを作る
本書の内容の理解を深めるための参考文献
あとがき


自分のSRMをつけてみると、どんなときに自分の社会リズムがとても不規則になるのかに気付くだろう。例えば、シフト制・交代制の勤務をされているような方は、週末の基本パターンすら既に不規則だろう。また、何らかの拍子に社会リズムがぐっと乱れるポイントもあるだろう。例えば、残業、何らかのイベントの日や旅行のとき、インフルエンザに罹って体調を崩した日、などがそれに該当する。

目標は、「SRMの各項目の時刻をできるだけ均一にすること」である。
そのために、まず、生活を規則正しくするためのプランを立てよう。それぞれの活動について、その週の「目標時刻」を決める。同時に、「将来的な目標」も決めておく。現在昼まで寝ている人が、「7:00に起きる」という目標を立てても、結局は続けられない可能性のほうが高い。それなら、「7:00に起きる」を将来的な目標の紙に書いておき、今週のSRMの「目標時刻」には、「10:00起床」と書いて始めるほうがずっと妥当である。

社会リズムのなかでも、最も重要なのは睡眠
基本的なことだが、よい睡眠のための習慣として、次のようなことが重要となる。

毎日決まった時刻に起床すること(休日だからと言って朝寝坊しない)
日中適度に身体を動かすこと
昼寝をする場合は、午後3時頃までの短時間(30分以内)にすること
夕方以降はカフェインなどの刺激物を避けること
寝る前には穏やかに時間を過ごすこと(パソコンや携帯メールも避ける)
寝る前にアルコールを飲まないこと
ベッドでテレビを観たり本格的に本を読んだりするのを止めて、「ベッド=寝る場所」という関連を身につけること。


双極性障害の場合、「規則正しく、よく眠ること」は優先順位が最も高いことになるので、主治医と相談して薬をうまく使うことが必要である。どうしても眠られないというときには、決まった就寝時刻に電気を消して横になっているだけでも、刺激を減らす効果はあるので、応急処置としては有効だろう。

なお、自分は社会リズムを安定させたくても、職場の事情や、他人との関係の中でそれができないとう場合には、対人関係療法での「対人関係問題」を解決していくこともできる。社会リズムを安定させることを妨げている対人関係の問題を検討し、自分を支えてくれる人を探していこう。そういう意味でも、この二つの治療法は相性がよいと言える。

次回は「社会リズム療法」から「活動の量と刺激のバランスを知る」を要約する。


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(2012/03/13 20:20)


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