『社会リズム』(2)-生体内リズムと病気の関係- 2012
3/9
金曜日

数回に渡り、「社会リズム」をピックアップしていこう。
本内容は、以下の著書からの要約であり、リワークプログラムの中でも教わった内容となる。
きちんと確認したい方は、本書を手に取ることをお勧めする。

対人関係療法でなおす 双極性障害
水島広子
4422114638

内容紹介
《対人関係療法でなおすシリーズ》の3冊目。「双極性障害」(=「躁うつ病」)とは、気分の高揚とうつ状態とが繰り返し訪れる病気である。単極性のうつ病と誤診されたためにうつがなかなか治らなかったり、病気ではなく性格の問題だとされて、きちんとした治療を受けられずに何年も過ごしている患者さんも多い。また、きちんと診断されても、これまでは薬物療法しか有効な治療法がなかった。本書では、「対人関係」と「社会リズム」という、この病気を発症させる二つの大きな要因に焦点を当てて、薬物療法以外に、自分自身でコントロール可能な方法を日本で初めて紹介する。

<目次>
はじめに
第I部 双極性障害を患うということ  
第1章 双極性障害という病  
第2章 双極性障害と社会リズム
第II部 対人関係・社会リズム療法(IPSRT)の進め方  
第3章 対人関係・社会リズム療法とは  
第4章 社会リズム療法  第5章 対人関係療法  
第6章 双極性障害対策チームを作る
本書の内容の理解を深めるための参考文献
あとがき


概日リズムの乱れは、それが「時差ぼけ」のような一過性の身体の症状でおさまる場合もあれば、病気に発展していく場合もある。私たちの身体は、外界の変化に適応し、機能を調整しながら生きているのであるが、変化に敏感な人とそうでない人がいる。変化の適応の仕方も人それぞれである。「時差ぼけ」にしても、「時差」に弱い人と強い人は確かに存在している。これは体質としか言いようのない、体内時計の柔軟性を反映したものである。

双極性障害は、概日リズムとの関係が強く指摘されている病気である。タイムゾーンをまたいで飛行する場合、東へ向かって飛ぶ人は「躁」になりやすく、西に向かって飛ぶ人は「うつ」になりやすいという研究結果がある。また、双極性障害の治療薬でもあるリチウムは、概日リズムに影響を与えることが知られている。

双極性障害が、概日リズムの乱れになぜ弱いのかということは詳しくわかっているわけではないが、おそらく、神経細胞以下のレベルでの変化の弱さがあるのだと思われている(少なくとも、本人の意思が及ぶレベルではないことだけは確かである)。
双極性障害の特徴は、その不安定さにあることが知られている。
変化によって容易にバランスが崩れてしまう。

対人関係・社会リズム治療において「社会リズム」と呼ぶものには、これらの時間的な要素のほかに、その活動の刺激の強度も含まれている。

「社会リズム」というのは、社会で暮らす生物である私たちが社会と関わるリズムという意味である。「起床」は、目を覚ますだけの時間ではなく、社会とのかかわりが始まる時間でもある。起床に始まり、終身まで、一日をどのように社会と関わって過ごしたか、その時差と刺激を見ていくものが「社会リズム」という概念である。


次回は、『社会リズム療法』について順追って要約しよう。



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(2012/03/09 21:18)


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