前回の「ルールを書き直す」の続編。
『いやな気分よ、さようなら』から怒りについてシーリーズで要約してみたい。
誰にでも怒りはあるもの、その辺りをどのように緩和するか、多分、恐らく、皆さんにも有益な部分はあるはずだから、参考になればと期待を込めて。
本シリーズはこのように分割したい。
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花
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内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。
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◆狂った態度を受け入れる
恵子(妻)の忠男(夫)の対する怒りが鎮まるにつれ、互いに冷静になり愛し合うようになった。しかし忠男の先妻の子の早苗は父親と恵子の仲が良くなったことに反発したのだった。嘘をつき始め金を借りては返さないようになってきた。恵子の寝室に潜りこみ、引き出しをかき回し、恵子のものを持ち出した。これらはみな恵子を怒らせるのに十分だった。「早苗はこそこそすべきでない。やり方が汚い」と恵子は考えた。彼女の葛藤は二つの要素からなっていた。
1.早苗の気に障る行動
2.恵子にもっと大人になってほしいという恵子の期待
早苗は変わりそうにもなかったから、恵子のとる道は一つだった。早苗にもっと大人らしく、女の子らしくしてほしいという期待を捨てることだった。そして次のように自分の課題をメモした。
◆なぜ早苗の気に障るか?
早苗は自分のことを愛情と注目を受ける存在であると信じ、それは生きるか死ぬかという問題であり、
自分が生きるためにはみなの注目を浴びなければいけないと考えているみたい。
そのため愛情を受けないと、自分の危機であると考えているのだろう。
注目を浴びるたびに我侭に振舞うのが良いと思っているから、いつもそのように振舞うに決まっている。
それはすぐには変わりそうもない以上、しばらくはそのままにすることにしよう。
というのは、よく考えてみると、早苗がどう振舞おうと私には関係のないことだから。
早苗を含めて人はみんな自分が正しいと思うように行動すればよいと私は思う。
第一、早苗はもっと注目されるべきかもしれない。
早苗の気に障る振る舞いは自分の権利意識に基づいていて、彼女にしてみれば正しいことなんだわ。
私は自分の感情は早苗ではなく、自分で左右したいと思う。
彼女の「公正な、気に障る」振る舞いに腹を立てたい?
まさか、だから私は彼女への反応の仕方を変えることにしましょう。
1.早苗の盗みを、「彼女ならやりそうなこと」と考えよう。
2.何をしても、子供のする事だからと笑って済ませよう。
3.怒ることに特別な目的でもあれば別だけど、怒らずにいることもできる。
4.もし早苗の我侭に自尊心が傷つけられたと感じても、子供にそんな力があるのか、と考えればいい。
このメモはどんな効果があるだろうか?
早苗は恐らく意地悪のつもりで挑発的な行動をとるのだろう。
早苗のターゲットは恵子で、恵子に憤りや葛藤を感じさせようとしているのだ。
恵子が怒れ派早苗の思う壺である。
恵子が自分の考えを変えれば、葛藤を大きく減らすことができるだろう。
次回は続きの「洗練された操縦法」へ進むことにしよう。
(xxx)
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