頻繁に双極性障害と併発する疾患(不安障害-対人恐怖症・社会不安障害-)

2012
1/17
火曜日

以下の著書からトピックスとなるものをピックアップしていこう。

参考書籍:「「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ

「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ


ジム・フェルプス 荒井 秀樹
4791107624

■内容紹介
うつ病と診断される人が増えている中、「落ち込んでいる」とか「意欲がわかない」といった抑うつ状態が長期間にわたり持続したり繰り返したりする人たちを、すべて同じうつ病と診断していて間違いはないのか? 本書は、長引く抑うつ状態に苦しんでいる人に対して、双極II型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示している。また気分障害をスペクトラムとしてとらえる考え方を学ぶ。

■内容(「BOOK」データベースより)
うつが長いこと持続したり、繰り返したり、より悪くなる、などということはありませんか。抗うつ薬をのんでも効果がないとかより悪くなるということはありませんか。もしかすると、うつ病ではないのかもしれません。繰り返すうつの波は、「軽微な」双極性障害のせいかもしれません。本書は、気分障害スペクトラムの概念を詳説し、すぐに実践できる対処法を紹介する。



双極性障害と一緒に起きることが多い(併発)病気を見ていこう。

Ⅰ. 不安障害
1. 対人恐怖症・社会不安障害
2. 強迫性障害(OCD)
3. パニック障害
4. 心的外傷ストレス障害(PTSD)
5. 全般性不安障害(GAD)
Ⅱ. 注意欠陥障害(ADD)
Ⅲ. パーソナリティ障害
Ⅳ. 物質乱用障害
Ⅴ. 精神障害
(Ⅲ、Ⅳ、Ⅴについては触れない)


これらは強い気分障害の要素を持っていないため、自分たちの症状に当てはまるとは限らない。・言い換えれば患者は不運なことに、互いに無関係で別々の治療を要する二つのメンタルヘルスの問題を抱えてしまっていることがある。 (医学用語では二つの違った障害が同時に起きることを「併存状態(コモビディティ)という)

しかし双極性障害の治療をするだけで、これらの病気が回復へ向かっていこと多く、これらの症状がもともと双極性障害の気分障害の一部だった(または双極性障害によって症状といわれるレベルまで悪くなってしまっていた)と考えられる。

双極性障害は、精神科診断の主な種類のほとんどの疾患と併存する可能性がある。


診断上の不安障害という分類だけの話ではなく、不安障害と双極性障害の併発こそ問題となる。
なぜなら不安障害の治療にもっともよく使われる薬が抗うつ薬であるため。
これは多くの人に効く。
問題なのは、気分障害スペクトラムの症状と併存したり、実際に不安障害が双極性障害の一部であったりした時、つまりある程度の双極性障害をもっている時である。不安症状に対して使う抗うつ薬が双極性障害を悪化させる危険性を考慮しなければならない。

すべての不安障害には、多くの場合薬物治療と同様かそれ以上の効果のある心理療法が存在している。しかし、これらの治療は広く知られていない。どこでも受けられるものではない。結果的に、不安が際立っていて(気分障害スペクトラムの要素)も、気分や意欲の周期性変化が目立たない患者の多くでは、抗うつ薬の治療を受ける事になるだろう。

不安障害が双極性障害の一部である場合もある。気分障害スペクトラムの症状が上手く抑えられない時は、不安症状が原因とみられる。確かに不安は一般的に双極性障害の症状とみなされていない。

双極性障害と併存すると思われるものに触れていこう。


-
◆Ⅰ-1.対人恐怖症・社会不安障害

「対人恐怖症」(DSM用語)、あるいはもっと丁寧にいうと「社会不安障害」は、社会的状況の中に限られた不安。他人から離れて、接点がなくなるとすぐに不安は無くなる。これ以外の不安障害はどれでも、一人の時にも不安が持続するのとは対照的。
ある程度の対人恐怖が、双極性障害の症状として出る可能性がある。

躁の症状にある誇大妄想の制反対がどのように見えるか考えてみよう。
これは双極性障害の最悪な側面の一つ。
自分の能力、魅力や存在価値に対してとても否定的な評価を頭の中で描き続ける自己嫌悪、自己批判的な状態となる。この鏡像が躁病的または計装病からくる急速な思考と合さると、否定的思考の急流に打ちのめされたような感じになる。(よく自殺年慮と関連してくる理由がお分かりか)

ここで、軽度な誇大妄想、スペクトラムの真ん中くらいに位置する症状の鏡像を考えてみよう。
それは自信満々で物事がうまくいくと確信しているような症状。この鏡像が自信の欠如として経験されても無理はない。自信の無い人は社会的状況下で内気になる。よって、双極性障害自体から社会不安が起こる場合がある。

残念なことに、双極性障害が悪くなると、この不安障害も悪くなることがよくあるが、双極性障害が治療されても不安障害がなくなることはそれほどない。多くの人にとって、不安障害と双極性障害は別々のもののようである。しかしすぐに薬治療に切り替える必要はない。対人恐怖症のための専門的な心理療法である認知行動アプローチがある。
認知行動の技術を持つ心理療法士に一緒に実践してもらってもいいだろう。



ページの先頭へ





(xxx)

Copyright (C) 2012 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.