自分の思考を構造化するためにどの戦略を選択するかh、どの行動が必要となるかによってきまる
表10.3は、構造化が必要であろう思考の種類と、自分にとって最も役立つと思われる戦略を要約している
表10.3 精神的メルトダウンへの対処法 |
精神的メルトダウンのタイプ
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戦略 |
解決が必要な困難や問題を抱えている場合
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次節で解説する問題解決演習を用いる
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自分にとって重要ことについて決断を下すのに苦労している場合
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この章の「決断を下す」という節へ進む
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動揺をもたらす思考、または感情的な思考を区分する必要がある場合
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第9章に戻り、思考記録と思考を評価するための方法を用いる
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思考を十分に構造化できないために仕事を終えられずに苦労している場合
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第5章の目標設定、分解と引き受け、または「Aリスト」「Bリスト」演習を用いる
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危険を冒したい願望がある場合
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この章と「24時間ルール」の用い方と、「他者からのフィードバックを得る」の節を読む
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■問題解決演習
◇ステップ1:問題の定義
・問題解決で最も困難な部分は問題の性質を明確に説明すること
・問題を明確に把握できれば、それを解決することができる、またはうまく対処することができる
・現状を完全に描写しない曖昧な表現、一般的な表現を用いても解決には至らない
表10.4に、問題の曖昧な定義と明確な定義の例を挙げる
表10.4 問題の明確な定義と曖昧な定義 |
曖昧な定義
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明確な定義 |
「僕は怠け者だ」と太郎は考える
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「僕は数週間、アパートを掃除していない」
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「私は一文無しだ」と花子は言う
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「車を修理に出さないといけないので、今月は電話代を支払えるだけのお金がないかもしれない」
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「誰も僕の事なんか気にかけてくれない」と次郎は考える
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「僕の友人たちは今週末にみんなで集まったのに、誰も僕を誘ってくれなかった」
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「仕事を首になったら、私は気が変になってしまう」と久美子は言う
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「私は失業する可能性がある。もしそのようなことになったら私はどうやってお金を手に入れたらいいのかわからない。別の仕事を見つけられるかどうかも確信がない」
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問題を解決できるくらいの明確な定義をし、叙述するために、表10.5の質問を自問自答してみよう
これらの10の質問について十分に考えた後で、ワークシート10.1の空欄に記入してみよう
表10.5 問題を定義するための10の質問
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1. |
何が問題か
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2. |
それは過去のことか、それとも今でも解決を必要とすることか
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3. |
それは自分の問題か、誰かほかの人の問題か
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4. |
それについて今、自分にできることはあるか
その問題にはやはり解決が必要であり、それが自分の個人の問題であること、しかもそれについてできることがある場合に限って、質問5~10に進む
一方、もしそれが過去の問題であり、自分の問題でない場合、またはそれについて今できることは何もない場合には、第8章と第9章の演習を用いて、その出来事に関する自分の思考に徹底的に取り組む
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5. |
その問題が最も生じやすいのはいつか
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6. |
それはどれほど頻繁に生じるか
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7. |
その問題が解決されないと、どのようなことが起こるか
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8. |
この問題について最も心配していることは何か
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9. |
それが解決されたら、自分にとって状況はどのように変わるか
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10. |
問題のどの部分を最初に解決する必要があるか
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ワークシート10.1 問題定義 |
問題は:
生活の影響:
動揺の理由:
即時の解決が必要な理由:
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◇ステップ2:解決策の発見
・問題解決における次のステップは、可能な解決策のリストを作ること
・自分の考えをリストアップするには、ワークシート10.2を用いてみよう
ワークシート10.2 解決策の発見 |
問題に対して可能性のある解決策
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順番
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考え
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・可能性のある解決策を少なくとも5つ考えてみよう
・何一つ変えることなく問題をそのままにしておくというのも1つの解決策
・自分に代わって誰かにそれを解決してくれるよう頼むのも1つの方法
最善の解決策ではないかもしれないが、少なくとも可能性はあるだろう
・自分の問題に対する新しい解決策を編み出すときには、できる限り創造力を豊かでいよう
・解決策を1つ考え出すたびに、それを1つ1つ評価するために停止しないこと
・最初はまずリストを作るだけにし、そのうえで適切なものを選ぶステップに従おう
・可能な解決策を少なくとも5つ記入したら、最も望ましくない方法、または現状を考えるとあまり実用的でない方法に線を引き、リストから除外する
・残っている各解決策の良い点、悪い点について考える
・そして好ましい順番にそれらを並べる
・1番目に選択した方法の左横の「順番」と記された小さな欄に#1と書き入れる
・さらに2番目の選択の横には#2と書き入れる
◇ステップ3:自分の計画を改善する
計画を実行に移す前に、次の点を考える
●いつそれを試みるか
●誰かが手伝ってくれるか
●それがうまくいったかどうかをどのようにして知るか
・それはあなたが自分自身で試みる解決策だろうか?
・それともほかの人の協力が必要だろうか
・もしほかの人が関わっているのなら、その人たちにあなたの考えを十分に説明し、その人たちの提案を聞こう
・そして自分がいつ行動を起こすのかについて同意を図ってみよう
◇ステップ4:計画を実行に移す
・このステップでは自分の解決策を実行してみて、どうなるかを確かめること
・その解決策が最初やってみたときにうまくいかないように感じられたら、再度それを試すか、さもなければ自分のリストの中から解決策#2に切り替えるかを判断する
・ときには、同じ解決策を2回以上やってみて、初めて良い効果が現れることもある
■決断を下す
・2つの選択肢のうち1つを選択しようとするとき、一方の選択肢がもう一方より際立ってより優れていれば決断を下すのは容易
・しかし完璧とはいえない選択肢が2つないし3つあり、しかもしれぞれがいくらか、明らかに不都合な点をもっているだけではなく、明らかな利点をもっているとしたら、決断はより難しいものになる
・もっと積極的に決断したいと思う人は、次に説明するステップにしたがってみてはどうか
・これにより、自分にはどのような選択肢があるのか整理し、現在の必要なことに最もぴったり合うものを選ぶのに役立つだろう
・論理的に選択肢を判断することが出来るのか自信がないなら、次の演習をした上で、信頼する人に意見を言ってもらうように頼もう
◇ステップ1:選択肢をあげてみる
・比較検討中の選択肢を決断ワークシート10.3にあげてみよう
・仕事についてなら、「転職する」「現在の仕事を続ける」「障害者年金を申請し、働くのをやめる」という選択肢が考えられるだろう
・人間関係に終止符を打つことについて決断を下そうとしているのなら、「今すぐ別れる」「もうしばらくそのままで関係改善を望む」「自分の辛さをパートナーに話し、彼(彼女)が事態の改善に快く望む気持ちがあるかを知る」といった選択が考えられるかもしれない
ワークシート10.3 決断ワークシート |
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可能性のある選択肢
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利点 |
不利益 |
選択肢1
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選択肢2
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選択肢3
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主題 |
重要度の順番 |
最適な選択肢 |
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◇ステップ2:選択肢の利点と不利益をあげる
・選択肢の利点と不利益をあげる
・重複する点があることもある
・重複してもよいので、思いつく利点と不利益を全てあげよう
・それぞれ選択肢に対する賛否両論について考えるのを手伝ってくれるよう、友人、家族に頼んでみよう
◇ステップ3:各選択肢の最大の利点と最大の不利益を選ぶ
・リストにすべて目を通し、各判断選択肢の最大の利点と最大の不利益を1つ、ないし2つ選び出してみよう
・これらの項目を○で囲む
・もしそのほうが読みやすいなら、リストの他の項目に線を引き、削除しても構わない
◇ステップ4:利点と不利益に共通する主題を探す
・ステップ3であげた利点と不利益に何らか共通する主題がないか探す
・ステップ3で自分が○で囲んだ主要な利点と不利益をよく検証し、主要な手段を選びだそう
・それらを決断ワークシートの「主題」の欄にあげよう
◇ステップ5:重要度に応じた順番を示す
・それぞれの項目の右側に、決断を下すうえでの重要度に応じて評価した主題/問題点の順序を記す
・最も重要なものを#1とし、次に重要なものを#2、などとする
◇ステップ6:最も重要な主題とそれぞれの決断選択肢を組み合わせる
・所定の問題に関して、決断へと導いてくれる最も重要な主題を選び出し、重要な順番にそれらを並べたら、次はその主題とそれぞれの決断選択肢を組み合わせる
・最初にあげた決断選択肢のリストに戻り、それぞれの主題に最もよく合うものを選び出す
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◇ステップ7:自分の問題に最も適した決断を選ぶ
・これで主題とそれぞれの主題に最も合う決断選択肢をあげたリストができたので、その項目を比較し、自分の問題に最も適した決断を選ぶことができる
・それぞれの決断選択肢に適合する主題の番号から、どの選択肢がその主題に合うかがわかる
・したがって、決断ワークシートに1番と記された決断選択肢が、同定した各主題に適応するのなら、恐らくそれが最適の選択肢となるだろう
・もし仮に別の決断選択肢が主題の1つにしか対応せず、しかもそれが最も重要な主題というわけではない場合には、それは恐らく適切な選択肢ではないだろう
・最も良い選択肢というのは、ほとんどの主題または問題点に対応するか、あるいは少なくとも最も重要な主題には対応するような決断選択肢となる
■他者からのフィードバックを得る
・自分が認めたくないかもしれないが、何をすべきか、あるいは何をすべきでないかについて、自分のことを知っている人の意見が正しいこともある
・その人たちは、あなたが自分の多くの思考、決断、選択衝動、心配を分類するときに力になってくれることもある
・そのほか、もし自分が認めれば、頼みの綱になってくれる人もいるだろう
・これらの人の言うことは必ずしも適切であるとは限らない。
・しかし自分とは違う考えを提供し、ほかの可能性について考慮するよう、促してくれるだろう
・躁病または軽躁病になると、普段よりかなり多くの分類すべき思考を抱えるかもしれない
・重要な事実を見逃したために論理上の過ちを犯し、誤った判断を下してしまう危険を冒す可能性もある
・ほとんどの人は、躁病のときに誤った判断を下してしまったことを後悔する
・そして次回は行動を起こす前に自分をとめるための方法を学びたいと思ってしまう
・どのような考えが浮かんだら自分に警戒を促すべきなのだろう?
・それは、自分の生活に大きな変化をもたらしたい、ほかの人にショックを与える、または驚かす、何か衝撃的なことをしたい、普段ならしそうもない危険を冒したい、という衝動的な欲求である
・これらの考えが心がよぎったら、自分自身を守るためのひとつの戦略は、それについて誰かに話すとうこと
・もしその人の意見を聞きたくない、あるいは相手の反応など気にもしないとしても、自分がその考えを声に出して言っているのを耳にすることは、衝動的に行動して後悔するようなことになる前に、それについてじっくりと考えさせてくれるには十分なこと
・双極性障害の人の中には、自分の衝動的な思考を口に出していうのを不快に感じる人もいる
・そのようなことをするとほかの人々が過剰に反応する、疑い深くなる、自分のことを過剰に注意深く見るようになる、または自分に対しネガティブな態度をとるようになる、からである
・このような心配をするのは最もなこと
・素晴らしいアイデアを拒絶されたいと思う人などひとりもいない
・その一方で、困った状態に陥らないようにするためには、自分がブレーキをかけられるよう力を貸してくれる人が必要になる
・ほかの人にしてみれば途方もないようなあなたの考えについて話せる人を、あなたの世界の中で見つけてみよう
・その人は、あなたが危険を冒すことについて考えているからといって実際にそれを行うわけではないということがわかっているかどうかを確認してみよう
・セラピスト、または精神科医がそれにあたる
・家族、友人、誰かがあなたを知っている他の人で、その人も双極性障害であり、ときにはあなたと同じような思考に対処することがある人を選ぶほうが実際に役立つかもしれない
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