今一度知る双極性障害の『薬物療法の効果を最大限に得る』 2011
12/11
日曜日

「バイポーラ-(双極性障害)ワークブック」から第6章「薬物療法の効果を最大限に得る」の要点をピックアップしたい。

【参考文献】
chapter1:疾患をコントロールする
chapter2:双極性障害の実際
chapter3:自分の経緯を図式化する
chapter4:早期予防システムを発動させる
chapter5:自分自身を強化する
chapter6:薬物療法の効果を最大限に得る
chapter7:「否認」の壁の克服
chapter8:思考の誤りの認識と把握
chapter9:感情的な思考をコントロールする
chapter10:精神的メルトダウンを反転させる
chapter11:改善へ向けた変化

バイポーラー(双極性障害)ワークブック―気分の変動をコントロールする方法
モニカ・ラミレツ・バスコ 野村 総一郎
479110630X

双極性障害(バイポーラーディスオーダー)による「気持ちの揺らぎ」を抑制する具体的対処法を、認知療法的な手法を用いて、分かりやすく解説。ガイドライン(治療指針)は患者さんへの指導書として治療者が使用でき、障害を持つ患者さん自身が使う自習書としても最適な治療読本。




本章では、
○双極性障害の薬の服用について自分の確信を評価する
○自分にとって何が規則正しい薬の服用の妨げとなっているのかを解明する
○行動契約を利用し、個人的な治療計画を立てる
○薬を中断したい場合には何をすべきかを学ぶ

1節 ■「薬物療法の効果を最大限に得る」
ワークシート6.1 ワークシート6.1 事実1に対する確信
ワークシート6.2 ワークシート6.2 自分の薬のパターン
ワークシート6.3 ワークシート6.3 事実3に対する確信度
ワークシート6.4 none
ワークシート6.5 ワークシート6.5 心の病いについてあなたの意見
ワークシート6.6 ワークシート6.6 治療を持続していく方法についての考え
ワークシート6.7 ワークシート6.7 薬の服用の忠実な継続に対する障害
2節 ■行動契約を用いて事前に計画を立てる
ワークシート6.8 ワークシート6.8 個人的な治療計画
3節 ■本当に薬物療法を中断したいと思ったら、どうしたらよいか



■「薬物療法の効果を最大限に得る」

◆事実1:
薬はこの障害の症状を完全にコントロールするために、そしていったん症状が治ったら、その再発を防ぐために必要

薬を用いないより用いたほうが、行動がより改善する事実をどれほど信じるか、ワークシート6.1に印をつけよう


ワークシート6.1 事実1に対する確信

あなたは事実1をどれくらいほど信じるか

0%
まったく信じていない
50%
まだ確信ない
100%
事実だと知っている


もしあなたがそれを確信していないなら、確信するためには何が必要か





あなたがこの考えを詳しく検討するために必要な情報は、どのように入手できるか







◆事実2:
・双極性障害の人はたいてい薬を服用するのを好まない
・(そのため)
 -薬の服用を一切やめてしまったり、
 -それほど一貫して服用しなくなったり、
 -もっと我慢できるものにしようと自分で勝手に投薬計画を変更してしまったり、
といった時期を経験する人がほとんどである

ワークシート6.2を良く検証し、自分に当てはまる答えに印をつけてみよう


ワークシート6.2 自分の薬のパターン

あなたの現在の薬の服用パターンを言い表していることに印をつけてみよう

□私は毎日、同じ時刻に自分の薬を全て飲む
□私は毎日、自分の薬のうち一部を飲む
□私はたいていの日、自分の薬を全て飲む
□私は自分の薬を毎日飲むつもりだが、忘れてしまうことがしばしばある
□私は自分の薬のうち一部を、自分の判断で飲むのをやめてしまった
□私は現在、双極性障害の薬を一切飲んでいない

私は現時点における自分の薬の服用の仕方に満足している

はい(   ) いいえ(   )

「いいえ」と回答した人は、現時点において、それについて何に満足していないのか

私は自分の薬の服用の仕方について、いくつか改善したい点がある

はい(   ) いいえ(   )

「はい」と回答した人は、どのように改善したいか




◆事実3:
・双極性障害の症状に対して処方される薬のほとんどは、ポジティブな影響をもたらすに十分な量をかなり一貫して服用しないと効果がない
・双極性障害の薬は、症状をコントロールし、躁病とうつ病の再発を防ぐ効果があるが、その基盤にあって症状を生む出している生物学的問題を治すわけではない(完全な治癒に至ってはいない)

この先の人生を、ずっと薬を服用し続けなければならないかもしれないとう確信度について、ワークシート6.3の質問に答えてみよう


ワークシート6.3 事実3に対する確信度

あなたは事実1をどれくらいほど信じるか

0%
まったく信じていない
50%
まだ確信ない
100%
事実だと知っている

強い確信がないという場合、薬の服用に関してどのように言えばもっと正確だと思うか





あなたの考えを変えるには何が必要か









◆事実4:

・双極性障害のために毎日薬を服用するということは、単に薬だけの問題ではない
・それは自分がまだ引き受ける準備のできていないかもしれない運命を受け入れるということ
 (感情的には、この考えを受け入れがたいもの)

◆事実5:
・ほとんどの人が、心の病、および心の病いをを抱える人を受け入れることについて何がしかの偏見をもっている
・心の病いを患う人を完全に受け入れられるほど、自分の考えは洗練されているわけではない
・心の病いを抱えているということで、その分偏見に囚われなくなるかというと、そうではないかもしれない
・双極性障害の人自身、心の病いを抱える他の人に対して偏見を抱いていることがある
・もし、心の病いを抱えているということを容認できない、または性格の欠点だ、あるいは心の病いというのは本当の疾患ではないと考えているとしたら、自分自身の中の障害をなかなか受け入れることができないと、その治療に協力的になることは難しいかもしれない

これらの意見をワークシート6.5に回答する前に考えてみよう


ワークシート6.5 心の病いについてあなたの意見

医師の診察室、またはそのほかの場所で心の病いを抱えている人を目にしたとき、あなたは彼らについてどのように思うか





あなたは自分自身に対してもそのように考えるか









◆事実6:
・薬のほとんどが誰にでも効くというわけではない
・初めての試みで適切な薬の組み合わせが見つかる人はほとんどいない
・有効に作用する薬を医師が見つけるまでさまざまな薬を試験的に用いるのは、かなり大変なことになるかもしれない
 (さまざまな薬を試している間にも不快な症状は続いているため)
・薬代の出費もかさむ
・この思考錯誤のアプローチを続けていくには、自分の側にとてつもない忍耐が求められる

薬の変更についてあなたはこれまでどう対処してきたか、ワークシート6.6に書き留めてみよう



ワークシート6.6 治療を持続していく方法についての考え

有効に作用する薬が見つかるまでに数多くの薬を経験してきたとしたら、あなたはどのようにして欲求不満に陥りがちな過程を切り抜けてきたか





もし再びそのような状況に陥って、薬を変更、もしくは追加しなければならないことになっても、それでも治療を持続していくことの価値について、どんなことを思い起こすことができるか





もし現在、適切な薬を見つけようとしている最中から、あなたがあきらめない理由としては何か
ほかの人に対してどのようなアドバイスをするか









◆事実7:
・双極性障害の薬の服用を中断すると、症状が再発し、重篤なうつ病、または重篤な躁病に陥る危険が非常に高くなる
・双極性障害の再発に共通する原因は、薬を中断してしまうこと
・症状は即座にぶり返してくることもあるが、遅れて現れることもある
 ⇒この遅れこそが、薬など必要ないという印象を与えることになる
・薬を中断した時期と、症状が再発した時期との間に何らかの関連がないか、ライフチャートを再検討してみること

◆事実8:
・双極性障害の薬の服用を中断し、その後症状が再度、それらの薬の服用を始めても、以前ほど効き目が現れないことがある
・うつ病と躁病の再発は必ずしも常に予測できるとは限らない
・いつも同じパターンで起らないのが普通
・次のエピソードがいつ起こるかを知るのは不可能
・(わかっていることは)規則正しく薬を服用していないと、年齢を追うにつ入れてうつ病のエピソードと躁病のエピソードの間の期間が短くなり、それぞれのエピソード事態がより長引く傾向がある

◆事実9:
・双極性障害を抱えていることを受け入れ、規則正しく薬を服用することに同意していたとしても、様々なことによって、医師の処方どおりの治療計画に従えなくなる可能性もある

以下のような実際的な理由がる
 ○薬を切らしてしまった
 ○薬を飲み忘れた
 ○薬を購入するお金がまったくなかった
 ○薬局に薬を取りに行くのに、車で乗せていってくれる人がいなかった

またときには、以下のような家庭の事情によることがある
 ○薬を飲むことを母が心配する
 ○弟がこれらの薬に反応を示したことから、服用するのが怖くなった
 ○家族は、私がなぜ薬を飲むのかを理解していない

患者が規則正しく薬を服用しない理由が、ときには以下のように薬自体にあることもある
 ○薬を飲むと一日中、眠くなってしまう
 ○薬を飲むと体重が増えてしまう
 ○薬の数が多すぎる
 
以下のように、薬をまったく飲みたくないと思う、何か個人的な理由があることもある
 ○薬に頼らなくてはならないというのは好きじゃない
 ○薬から離れられなくなってしまうのではないか怖い
 ○気分が良くなったから、もう薬は必要ない
 ○薬は本当に自分の役に立っていない

処方通りに薬を服用しない理由が、以下のように医師または診療所に関係していることもある
 ○医師が本当に自分のことを理解しているように思わない
 ○医師は診察をあわただしく終えてしまい、私の話に耳を傾ける時間をとってくれなかった
 ○自分の医師、看護師、または診療所が好きでない
 ○医師の考えに賛成できない

ワークシート6.7に従って、これらにあげたリストで自分に当てはまるものについて検討してみよう


ワークシート6.7 薬の服用の忠実な継続に対する障害

事実9に挙げたリストを見直す
(1)双極性障害の治療を受けてきた期間に、処方されたとおりに忠実に投薬計画に従わなかった理由につてチェックを(レ)する
(2)またできるかぎり一貫して薬を服用しようとする際に、今でも困難だと思われることにチェック(レ)をする

(1) (2)
□ □ ○薬を切らしてしまった
□ □ ○薬を飲み忘れた
□ □ ○薬を購入するお金がまったくなかった
□ □ ○薬局に薬を取りに行くのに、車で乗せていってくれる人がいなかった
□ □ ○薬を飲むことを母が心配する
□ □ ○弟がこれらの薬に反応を示したことから、服用するのが怖くなった
□ □ ○家族は、私がなぜ薬を飲むのかを理解していない
□ □ ○薬を飲むと一日中、眠くなってしまう
□ □ ○薬を飲むと体重が増えてしまう
□ □ ○薬の数が多すぎる
□ □ ○薬の頼らなくてはならないというのは好きじゃない
□ □ ○薬から離れられなくなってしまうのではないか怖い
□ □ ○気分が良くなったから、もう薬は必要ない
□ □ ○医師が本当に自分のことを理解しているように思わない
□ □ ○医師は診察をあわただしく終えてしまい、私の話に耳を傾ける時間をとってくれなかった
□ □ ○自分の医師、看護師、または診療所が好きでない
□ □ ○医師の考えに賛成できない






■行動契約を用いて事前に計画を立てる


・自分ができるだけ規則正しく、毎回薬を服用していけるように役立つ数々の戦略を説明していく

・行動契約とは、治療目標を設定し、改善を妨げる恐れがあることを事前に予想するとともに、それが生じた際には取り除くか、あるいはそれにうまく対処するための計画
・自分自身と契約を結ぶということは、自分の疾患に対するより良いコントロールを得るのに役立つ計画に専念するということ

ワークシート6.8に示された行動契約には3つの部分から成っている


ワークシート6.8 個人的な治療計画


行動契約

パートⅠ:目 標
毎回薬を服用するために、私はこの計画に従うつもりです
薬の種類 用量 服用時間








































次に挙げるのは、治療におけるほかの目標です

セラピー









自助計画















パートⅡ:障 害
以下の要因は、私が薬を規則正しく服用することを妨げるおそれがあります





























パートⅠ:<目 標>
・治療計画を明記する
(個人心理療法、集団心理療法、AAや支援団体主催のサポートグループも含む)
・定期的に服用していく予定の薬を書きこむ
・1回の服用量と時間を明確に書く
・薬の服用に加え、治療または自助計画の一環として達成したいと思う個人的な目標を書く
 (ある行動をやめる、改める、新しいことをと学ぶ・・)
・できる限り具体的に書く(「より良き人になる」ではダメ)

パートⅡ:<障 害>
・目標達成を妨げるおそれのある(事実9参照)事柄のリストを作成する
・治療計画に忠実に従っていくことの妨げになったと思われる要因を書きこむ
 ●どのようなことに影響されて、薬の服用を中断しようと思ったのか
 ●そのことにあなたの気分、または心の状態が関係していたか、もしそうなら、どの様な気分または症状が原因で薬をとばして 服用したり、または一切やめてしまいたくなったと考えられるか
 ●他に誰か、あなたに薬の服用をやめるように促した人はいたか
 ●あなたには、治療を一貫して続けなくさせるような個人的な性質、または弱さがあるか
 ●忘れっぽい、きちんとしていない、またはこらえ性がないといったことはあるか
 ●薬が無くてもやっていけると過信していないか

パートⅢ:<計 画>
・パートⅡで同定した治療への障害に対処するための計画
・今計画を立てれば、薬に関する問題があなたの進展や回復を邪魔する前に、それらを阻止する準備が整う

薬の服用に対しての提案

◇「ときどき薬を服用するのを忘れてしまうのだが、どうしたらよいか」

提案1
・毎日常に同じ時刻に薬を飲むようにしてはどうか
・それを日課にする
・毎日靴を履く、歯を磨くといったのとちょうど同じようにする

提案2
・仕切られたピルケースを用いてはどうか
・正午にそのピルケースをチェックし、薬を服用したかどうかを確かめる
・そのピロケースは毎日、自分が目にしがちな場所に置く
・それを目にすれば、薬を飲む可能性がもっとも高まる

提案3
・薬を飲むことを思い出すように、自分宛にメモを記してみる
・そのメモをどこか毎日目にする場所に貼る
・覚え書きを貼る場所としては、冷蔵庫、洗面所の鏡の近く、あるいは車の中といった場所が一般的

提案4
人には大抵、毎日の決まった日課や、一連の毎日の習慣があるもの、例としては、
・毎日同じ時刻に起きる
・朝、歯を磨く
・モーニングコーヒーを飲む
・服を着る
・特定のテレビ番組を見る

定期的に薬を飲むことを思い出すためには、ほかの日課や習慣の1つを完了すると同時に薬を飲むという方法もある
例えば、モーニングコーヒーを飲むのと一緒に薬も飲むというのはどうか

◇「もうこれらの薬は必要ないと思うのだが、どうしたらよいか」

提案1
・薬の服用をやめると決めてしまう前に、気になっていることを医師に相談してみる
・薬によっては、たとえ気分が改善しても、毎日飲んだほうがいいものもある
・実際には疾患が悪化してきていることを示していることもある
・それを確かめるために、どの薬であれ、やめる前に医師に相談し、必ず適切な判断をする
・薬の服用をやめたいと思うときは、症状がぶり返している、または悪化していることを示すサインであるときもある
・気分が落ち込んでいると、薬など役に立たない、助けになるものなど何もないという気持ちになってしまうこともある
・絶望感、圧倒された気持ちになり、どうしたらいいのかわからないと感じることがある
・そして薬を飲むのをやめたほうがいいのではないかと考えるようになることがある
・このように考えるのは、実際には、うつ病が悪化してきていることを示している
・この時期に薬をやめるのは最適ではない
・しかし医師に相談し、助けを求めるにはよい時期でもある
・躁病になると、本当に、普段よりも気分が良く、もう薬は必要でないと感じられることがある
・これは軽躁病と呼ばれる、躁病の初期段階である
・軽躁病はたちまち躁病に転ずる可能性がある
・薬の服用をやまてしまったときには特にそうである
・薬の服用をやめると決める前に、自分の行動について、ほかの人の意見を聞いてみる


◇「家族の中に、自分が薬を飲まないほうがいいと考えている人がいるが、どうしたらよいか」

・家族に自分が薬を飲まないように促すときは、たいてい家族が薬について心配や懸念をしているため
・ときには、薬について何か恐ろしい話しを耳にしたということもある
・自分に害が及ばないように守ろうとして、薬を飲まないように言ったり、本当に薬が必要なのか疑問を投げかけたりする
・たいていの場合、問題は、家族が自分の疾患や薬を服用する目的を理解していないことにある
・家族は、もっと多くの情報や、医師またはセラピストから指導を受けることが必要かもしれない

家族が必要な情報を手に入れる方法のいくつかを以下に紹介する

提案1
・次回の予約に一緒に来てくれるよう、家族の誰かに頼んでみてはどうか
・もし1人しか来ることができない場合は、ほかの家族と話しができて、診察の中で学んだ事を伝えられる人を選ぶ
・自分が薬を服用することを家族が心配しているということを医師に伝える
・家族が自分の疾患をもっとよく理解出来るよう、医師は助けてくれるだろう
・薬の目的についても説明してくれるだろう
・そのとき家族は自分が心配していることや恐れていることについて質問できる

提案2
・自分の疾患と、その治療に関して、医師に書いてもらうように頼んでみる
・それを家族に渡すのも1つの方法

提案3
・サポートグループミーティングに同行してくれるよう家族を誘ってみる
・これらのグループは、心の病とその治療について家族へ情報を提供してくれる

提案4
・気にかけてくれたことに対し家族に感謝する
・どこでなら自分の治療に関する情報をもっとたくさん得られるか、家族に教えてあげよう
・自分の症状をコントロールするために薬を服用することにしたことを家族に知らせること


◇「薬を飲むと気分が悪くなるのがいやだ」

副作用は、薬の服用をやめてしまう最も一般的な理由のひとつ
しかしながら、多くの薬で、副作用は一般的なもの
副作用は薬を服用し始めた当初、または用量を変更したときに生じる
2~3日薬の服用を中断し、その後また再開すると、副作用が再発することもある
ときには、ある期間薬を服用してきても、なお副作用がしつこく続くこともある

提案1
・薬を服用したときの気分について、医師に相談する
・その不快感は薬を服用した結果なのか、それともまったく別の問題なのか、尋ねる
・副作用が出ているのなら、どれくらい持続しそうか、それに対して何かできることはないか、医師に尋ねる
・医師の助言に従う
・十分な期間、その薬を服用してみて、それでもまだ不快感が消えないときは再度、医師に相談する

提案2
・医師は自分よりも薬の副作用についてよく知っているので、副作用が生じても自分ほど気にしないことがある
・医師は問題を評価し、その症状は消えていくだろうと言うこともある
・もし医師の態度が配慮に欠けていたり、自分の訴えをあまりにも早々と退けてしまうと感じたら、思っていることを冷静に医師に伝える
・どうしても医師が心配していないようにみえるのか、尋ねること
・副作用がどれほど煩わしいかということを必ずはっきりと伝えること

提案3
・副作用が消えない場合は、薬から得る利益が副作用に耐えるだけの価値があるかどうかをよく考えてみる
・薬のおかげでうつ病または躁病にならずにすむのなら、恐らく苦しい副作用に耐えるだけの価値はあるだろう
・気分がよいと、生活上の最も大きな悩みの種が副作用に集中してしまいがちとなる
・重篤な症状を抱えていたときには、あまりにも気分が悪くて副作用などどうでもよかったかかもしれない
・薬をやめてしまう前によく考えてみよう


◇薬を飲むのが怖い

新しい治療を恐ろしく感じるのは普通のこと
自分は正しい診断を受けたのだろうか、処方された薬は自分にとって本当に最適な選択だろうかと疑問に思うこともあるだろう
薬を服用していたときのいやな経験について、人から話を聞くと、自分も何かひどい経験をするのではないかと心配になることもあるだろう

提案1
・薬について、医師にたくさんを質問をしてみる
・まずは次の質問の中からいくつか尋ねることから始めてみよう

  ●先生はなぜこれらの薬を私に選んでくれたのか
  ●何かひどい副作用の可能性はあるのか、もしそうだとしたら、それはどのようなものか
  ●もし副作用を感じ始めたら、どうしたらいいのか
  ●誰に連絡したらいいのか、直ぐに薬をやめた方がいいのか

提案2
・自分と同じ薬を服用し、うまくいった人と話をしてみる
・心配していることについて尋ねてみる

先に説明した状況のうち、自分に該当するものがあるのなら、対処案のうちに、自分の行動契約
(★ワークシート6.8 個人的な治療計画<パートⅢ:計画>)に加えられるかもしれない



■本当に薬物療法を中断したいと思ったら、どうしたらよいか


●そのことについて医師と相談する、そうすることの賛否両論を話し合う
●薬を減らすというのは妥当な考えであり、無謀な考えではないということをはっきりさせる
・もし確信が持てないのなら(★第4章 ワークシート4.1≪気分症状ワークシート>)を見直し、うつ病または躁病の症状が現れているかどうか判断する
・もしそうなら、症状がもっと安定するまで計画を延期し、再度評価し直してみる
●薬をまったくやめてしまうのではなく、その代わりに薬を減らすにはどうしたらいいか、医師に助言を求めること
●症状がぶり返しているかどうか、を医師と自分の両方がわかるようにするための方法を医師と一緒に決める
・恐らく過渡期の最中に、(★第4章 ワークシート4.1≪気分症状ワークシート>)をつけるとよい
●気分症状ワークシートを毎週チェックして症状を評価する
●「自分自身のためになることをする」と自分に約束する
・たとえそれが、薬を絶つという自分の計画がうまくいかないことを認めることだとしてもだ
●もし症状が再発したら、医師またはセラピストと定期的に面談すること
●たとえ現時点では薬なしでやっていけても、症状が再発したら薬を再開する必要があるかもしれないとう可能性についてよく考える
●薬をやめることに再発のリスクを負うだけの価値があるのかどうか、確認すること




次回は、本書から『薬物療法の効果を最大限に得る』について触れてみたい。

【バイポーラ(双極性障害)ワークブック 全トピックス】 ※新しいページで開きます
「DSM-IV-TR」と「ICD-10」の分類・定義
第2章(抜粋) 今一度知る双極性障害の『大うつ病エピソード』-Major Depressive Episodes-
第2章(抜粋) 今一度知る双極性障害の『躁(そう)病エピソード』-Manic Episodes-
第3章 今一度知る双極性障害の『自分の経緯を図式化する』
第4章 今一度知る双極性障害の『早期警報システムを発動させる』
第5章-1 今一度知る双極性障害の『自分自身を強化する(前編)』
第5章-2 今一度知る双極性障害の『自分自身を強化する(後編)』
第6章 今一度知る双極性障害の『薬物療法の効果を最大限に得る』
第7章 今一度知る双極性障害の『「否認」の壁の克服』
第8章-1 今一度知る双極性障害の『思考の誤りと認識と把握』
第8章-2 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「誤認(過大視・過小視)」』
第8章-3 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「結論への飛躍」』(読心術、運勢判断、破局視、個人化)
第8章-4 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「視野狭窄」』(選択的知覚、心理的フィルタリング)
第8章-5 今一度知る双極性障害の『絶対思考(白黒思考、レッテル貼り、すべき思考)』
第9章 今一度知る双極性障害の『感情的な思考をコントロールする』
第10章 今一度知る双極性障害の『精神的メルトダウンを反転させる』
第11章 今一度知る双極性障害の『改善に向けた変化』









(2011/12/11 16:26)


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