『おへそはなぜ一生消えないか―人体の謎を解く』武村 政春著 2010
5/18
火曜日

 博士[医学]の著者が、「複製」とは何ぞや? DNAとか、RNAやら、ヒトゲノムなんとか、ミクロの遺伝に関わる事柄を身近な話題から、柔らかいトーンで掘り下げている。「へへへ、そうなんだ」はあるけれど、僕には門外漢の分野だ。でも、結構、遺伝子的には解明されているけれど、まだまだ未知数の分野でもあるぞなもし、の世界だ。6章に別れてる。

 第1章 食べる口としゃべる口はなぜ別ではないのか
 第2章 年をとるとなぜ傷が治りにくくなるのか
 第3章 リ・ド・ヴォーはなぜ美味いのか
 第4章 人の赤血球になぜ核がないのか
 第5章 おへそはなぜ一生消えないのか
 第6章 胎盤という器官はどう作られたか

 第1章の食道と気管はどのように形成されたのか、皆さんも息をしながら、食べながら、なんで、喉を通るとき、無意識にうまく分類した道を通るのだろうか、何故、はじめから、食べる口と、息をする部位を分けていなかったのか、なあんて漠然とでもなくても考えたことはある? 問われたら医者や生物学者でない限り、答えられないでしょ?精子と卵子が受精して、胚(胎児)が子宮の中で育っていく過程というのは超神秘であって、それこそ、過去の数千億万年(テキトー)の進化を早送りしているようなものだと思うけれど、「前腸」というものが胎児が発生第四週の後期から第五週にかけて形成される。これが原型で、この一本の管が後に人体の様々な「管」になっていくことが説明されている。ほほ、不思議なものじゃのう・・・・

 第5章の「おへそ、臍の緒(臍帯)」と第6章の「胎盤」の話題も興味深い。「臍は雷様に取られる」、「臍を曲げる」、「臍で茶を沸かす」など、ことわざも多いね。世の動物たちは卵を産む「卵生」、卵を体内で孵してから産み出す「卵胎生」、そして胎盤と通じて胎児を育ててから産み出す「胎生」の3パターンがある。太った方は何故、おへそがお腹の中に埋没してしまうのか?なるほどね、といった話題もある。僕は出産と後産といわれる胎盤が剥がれ落ちてくるところは立ち会ったことがあるけれど、医学的・生物学的見地から臍帯や胎盤の役割・機能を解説されると、これまた、ほほほっ、不思議じゃのう・・・となる。何故、おへそは消えないのか、それはこの本を読んで頂戴。

 ささっと読めるので興味のある方はどうぞ。僕的には☆2つ、かな。(2010/05/18 20:41)

おへそはなぜ一生消えないか―人体の謎を解く (新潮新書)
おへそはなぜ一生消えないか―人体の謎を解く (新潮新書)
おすすめ平均
stars胎盤は分子レベルでの進化の証拠
stars分子生物学に興味のある方は
starsお臍の構造や成り立ちなんて初めて知った

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新書: 190ページ
出版社: 新潮社
ISBN-10: 4106103524
ISBN-13: 978-4106103520
発売日: 2010/02
内容(「BOOK」データベースより)
人体は謎に満ちている。生まれたあとは不要な「おへそ」がなぜ消えずにお腹の真ん中に残っているのか?食べる口と呼吸する口はなぜ同じになったのか?なぜ人の赤血球には核がないのか?男に乳首は必要なのか?生物学者が「複製」をキーワードに、人体の巨大な謎から瑣末な疑問にまで次々切り込む。最先端生物科学と大胆な仮説とユーモアが絶妙に結合したサイエンス読み物。

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