そもそも何故、この本を読んだのか？
◇理由１：送別会で図書券をもらった。
◇理由２：腰巻きに”わたしはシモンズを畏怖する－スティーヴン・キング”とある。どちらかといえば理由２に、無条件降伏的に、引き寄せられて買ってしまった。Ｓ・キングの褒め言葉には超弱い。しかしまた、外れがないことがある意味、裏打ちされている真実であり、有り体に言えば”ゾクゾクする”というこが保証されているともいえるからだ。

　日本で編集された短編集で、『黄泉の川が逆流する』，『ベトナムランド優待券』，『ドラキュラの子供たち』，『夜更けのエントロピー』，『ケリー・ダールを探して』，『最後のクラス写真』，『バンコクに死す』の７編が輯録されている。（※赤字ボールドはお勧め）

　主なキーワードは、吸血鬼、ゾンビ、ＨＩＶ、ベトナム戦争が根底に脈々と漲っていて、全体のトーンとしては、”くらーーーーい”し、”おえっ！”と、この世界に慣れ親しんでいらっしゃらない皆様には、『ドラキュラの子供たち』作品は、食事中なら確実にゲロをぶちまけることも請け負う。リアリティがあって誠に心地よい。

　ということで、ダン・シモンズファンになりそうだ、っていうか、既に引き込まれてしまった。上手い作家だ。他作を読ませろ！(2010/04/27 20:03)

■内容（「BOOK」データベースより）
ミステリ、ＳＦ、ホラー、現代文学のジャンルを超えて、「すこし不思議な物語」の名作を集めたシリーズ“奇想コレクション”刊行開始!第1回配本は、『ハイペリオン』でその人気を不動にした、まさにジャンルを超えて最高の作品を生みだしつづける巨匠ダン・シモンズ！　ローカス賞受賞の表題作をはじめ、死んだ母がぼくの家に帰ってきた…デビュー作「黄泉の川が逆流する」、かつての教え子ケリーを殺すため異世界を旅する元教師の孤独な追跡劇「ケリー・ダールを探して」、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞の傑作「最後のクラス写真」、本邦初紹介の「ベトナムランド優待券」ほか、全7篇を収録。