『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん著 2010
1/25
月曜日

 第135回(2006年)受賞作であるヘッドラインの本が、先日、本屋で平積みにされていた。買って読んだ。

 直木賞受賞だから云々言ってはいけないけもしれないけれど、その割には物足りない、手ぬるい感じ。もう一歩、心情を炙るような、擽るような踏み込みがない。経験則的にバツイチ男の気持ちはわからないことはないが、「まあ、そんなやつ、おらんだろう・・・」的な反発したい感情も迸る。言葉で口にするより、シナリオ的なト書きで、人間が描けるともっとすばらしい本になるかな。主人公の二人がそれぞれ破天荒な便利屋として日常を描きながら事件に巻き込まれたり、淡々と生きていくのだけどね・・

 「幸福は再生する」と最後に書かれた言葉に重みを感じていいのかどうか、納得出来なかったよ。

 この本の舞台となっている東京都西南の町「もほろ市」は、まさに「町田市」のことであって、小田急とJR横浜線が交差するけれど、ここは土地勘もあって、「町田市」をモデルというか、そのものだから情景描写はリアリティがある。そういった意味での楽しみ方が出来た。気軽に読めると思うよ。(2010/01/25 20:45)

文庫: 351ページ
出版社: 文藝春秋 (2009/1/9)
ISBN-10: 4167761017
ISBN-13: 978-4167761011
発売日: 2009/1/9


内容(「BOOK」データベースより)
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。


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