森のめぐみのデザインスクール(3)+(4) 2010
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土曜日

 港区が主催する『森のめぐみのデザイン運動』のスクール3回目と4回目は、講師に”飛騨産業株式会社”の方をお迎えして、飛騨産業の歴史と概要、家具製作の流れ、木材の基礎知識、それから、各自作品へのアドバイスを午前、午後、併せて4時間の内容の濃いスクールだった。

 飛騨産業株式会社は、大正9年(1920)8月創業の90年の歴史ある家具メーカーで、昭和18年、戦時中には、航空機を木材で作ろうと真剣に考えた時代があったのは知っていたけれど、”戦時体制が進み家具生産をストップし、 日本で初めて木製戦闘機の機体制作を開始。(高山航空工業(株)。航空本部管理工場となる)<公式サイト抜粋>”となっていたことを聞いて、零戦オタクの僕は「へぇ-、そうなんだ」と一人感心していた。

 さて、スクールの中身、杉材の特徴や、家具になるまでにはどのような工程で製作されるのかをざっと学んだ。塗料や接着剤ひとつにしてもホルムアルデヒト対策まできちんとやっているしね、また、飛騨産業さんの圧縮技術、曲げ技術は秘伝のものだろうけれど、ノウハウも経験も充分といったところ。

 杉は学名を「クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria Japonica)と言って、真っ直ぐな美しい杢目とあたたかな手触りが特徴の日本国有種のもの。今回、参加者30名の作品の一部を受け持っていただくことになのる。杉の間伐材(12x4x200cm)をマテリアルにし、今回、よりデザインを詳細に、ある程度、サイズまで決めて各自望んだんだ。

 間伐(木の間引き)をすることは森の成長を健全に推し進めるためには大事なことは重々承知していて、実際に奥多摩でもチェーンソーを使った間伐や、鋸で枝打ちも実体験してきたから、より深く必要性を感じる。(森林活動全般

 昔は商用材(出荷材)にならない間伐材も利用用途がたくさんあった。たとえば、工事現場や家の足場に使ったりね。でも、今はすっかり用途もなく、捨てられるか、燃やされるか、切り倒されたまま森で朽ちるか、コストをかけて出荷してまで採算にあわない。そもそも国産材を使う林業が衰退した原因は木の値段は高くならないのに人件費の高騰と、それに伴う林業従事者の激減がある、つまり食っていけなかった。まして、間伐材は節が多いため、節目が出るのを嫌がるし、使い道がなかったに等しいのだね。

 でも、それじゃいけませんね、集成材に加工すれば利用用途も格段に広がるし、本来木の持つ風合い、香り、手触り、これはとても心地よいものだしね。

 今はデフレも負のスパイラルに入ってしまっているし、コスト高なものは受け入れられない事情も多聞にある。「いいものは高い」はある程度常識であって、職人が手間暇かけたものが安いはずがない。しかしながら「いいものは一生使える」し、もっと言えば何世代にも残していける価値があるし、使い続けられた家具などはとても言い表せない表情があるね。

 僕の作品のコンセプトは、何をつくるか内緒だけれど、コミュニティー・サークルとして、誰もが利用できる触れ合いと憩いの場を提供し、間伐材利用を普及・促進してもらう願いも込めているんだよ。デザインはシンプル・イズ・ベスト、量産化ができ、加工が簡易であることに徹するよ。細工は凝らないし、利用用途を限定せず、利用範囲が広いことかな。3月下旬には皆さんの作品も出来あがれば公開審査の運びとなるらしい。楽しみだね。

P.S.僕が今までに日曜大工で作ったものは、シンク扉チェスト、大型本棚、CDラック、姿見鏡、小箱などなど、でもカントリースタイルのパイン家具が本命なんだけどね。(2010/01/16 18:18)


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