「辰巳八景」山本一力著 2009
11/19
木曜日

 もう何冊読んだか記憶にないが、山本一力氏作品。そもそも「辰巳八景」は長唄の『(辰巳)八景』に依っているらしい。ここでいわれている”八景”とは、
 ・永代の帰帆
 ・八幡の晩鐘
 ・佃島の落雁
 ・中町の夜雨
 ・石場の暮雪
 ・新地の晴嵐
 ・洲崎の秋月
 ・やぐら下の夕照
だそうな。それ毎に短篇が丁寧に編まれ、人情ほろりんの山本一力氏独壇場の世界を築いている。特に「やぐら下の夕照」が男と女の純情一途な想いを胸に秘めたまま、そして人生・多くを語るまいという奥ゆかしさ、読み手にそれぞれの人生をオーバーラップさせ、それで想像させる力量は絶品、流石。(2009/11/19 6:42)

内容(「BOOK」データベースより)

手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった…。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独壇場、人情の時代短編集。
  • 文庫: 402ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/9/28)
  • ISBN-10: 4101213429
  • ISBN-13: 978-4101213422
  • 発売日: 2007/9/28

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