もう何冊読んだか記憶にないが、山本一力氏作品。そもそも「辰巳八景」は長唄の『(辰巳)八景』に依っているらしい。ここでいわれている”八景”とは、
・永代の帰帆
・八幡の晩鐘
・佃島の落雁
・中町の夜雨
・石場の暮雪
・新地の晴嵐
・洲崎の秋月
・やぐら下の夕照
だそうな。それ毎に短篇が丁寧に編まれ、人情ほろりんの山本一力氏独壇場の世界を築いている。特に「やぐら下の夕照」が男と女の純情一途な想いを胸に秘めたまま、そして人生・多くを語るまいという奥ゆかしさ、読み手にそれぞれの人生をオーバーラップさせ、それで想像させる力量は絶品、流石。(2009/11/19
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内容(「BOOK」データベースより)
手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった…。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独壇場、人情の時代短編集。
- 文庫: 402ページ
- 出版社: 新潮社 (2007/9/28)
- ISBN-10: 4101213429
- ISBN-13: 978-4101213422
- 発売日: 2007/9/28
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